11/29/2007

記憶と危険な分子

「記憶と分子」というテーマに絡んだ論文で、最近目に留まったトピックを二つ。

メラトニンと夜間学習の非効率性
メラトニンの働きを抑えれば、学習効率が上がるかもしれない。

最近サイエンスに掲載された論文。夜に放出量が高まるメラトニンのせいで学習効率が落ちる、ということを示した論文。メラトニンは脳の松果体pineal gland)というところで産出される物質で、サーカディアンリズムと同調して放出量が変化する。研究では、昼間に行動するゼブラフィッシュをモデル生物として選び、メラトニンの情報伝達が夜間学習の非効率性を説明するのに、必要かつ十分だということを明らかにした。

人でどれくらい当てはまるかはもちろん不明だし、なぜ・どうやってメラトニンが学習の邪魔をするのかも不明。風が吹けば・・・の「風」の一つにメラトニンあり、という感じか。けど、もし人でも当てはまるとすると、一夜漬けほど効率の悪い勉強法なし、ということになるか。

文献
Science. 2007 Nov 16;318(5853):1144-6.
Melatonin suppresses nighttime memory formation in zebrafish.
Rawashdeh O, de Borsetti NH, Roman G, Cahill GM.


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ZIPで記憶消去

サイエンスに、しかも2年連続で出ているネタ。

PKMzなるタンパク質(PKCというタンパク質の触媒部位)の働きを抑えるZIPというケミカルがある。そのケミカルを脳に投与すると記憶喪失のような状態になることがわかってきた、という話。

昨年の論文では、海馬。最近の論文では、大脳新皮質での研究。ラットの脳にZIPを直接投与して、長期記憶に対する効果を調べたら、大雑把に言うと、記憶が消えることがわかった。

ポイントは、PKMzの働きが阻害されると、記憶ができてから数週間から1ヶ月という長期記憶までもが阻害されるという点。従来のドグマは、短中期:タンパク質合成・修飾など→長期:神経回路の構造的変化、とでも言ったら良かったわけだけど、そう単純ではないかも?という問題を提起したところが超面白い。つまり、長期記憶のフェーズでも特定のタンパク質の活性が大事ですよ、ということになるか。

逆のケミカル、つまり、長期記憶増強剤が見つかると大儲けできそう。(いろんな副作用がありそうだけど。。。)
少なくとも、「過去の記憶をすべて消して真っ白になりたい」と危険な希望を持っている人には朗報かも?

文献
Science. 2006 Aug 25;313(5790):1141-4.
Storage of spatial information by the maintenance mechanism of LTP.
Pastalkova E, Serrano P, Pinkhasova D, Wallace E, Fenton AA, Sacktor TC.

記憶の基礎となる現象の長期増強(
LTP)。海馬のLTPZIPによって抑えたら、海馬が関わる空間学習が阻害されたという話。この時点では、生きた脳でのLTPと学習の関係を示したという点で注目を浴びたのではないかと思われる。

Science. 2007 Aug 17;317(5840):951-3.
Rapid erasure of long-term memory associations in the cortex by an inhibitor of PKM zeta.
Shema R, Sacktor TC, Dudai Y.

こちらの論文がより重要。味覚の条件付け学習の長期記憶には島皮質が関わっていて、そこに
ZIPを注入したら、1ヶ月前の記憶すら消えてしまう、という恐ろしい話。

11/25/2007

自分の脳活動を覗いてコントロールする:リアルタイムfMRI

例えば何かを体験している時、自分の脳のどこがどう活動しているのか?
そんな脳の様子を自分自身で覗くことはできないか?
自分の脳を自力でコントロールできるようにはならないか?

そんな疑問・望みに一歩近づけるかもしれない技術がリアルタイムfMRI

fMRIは、脳活動に伴って起こる血流の変化を検出して、非侵襲的に脳活動を計測できる技術。それを「リアルタイム」でやって、脳のここがこれくらい活動している、という情報をその脳の持ち主に教えてやろう、という技術がリアルタイムfMRI

現時点では、実際の脳活動が起こってからその結果を知るまでには、10秒近くかかる。原理的にどう頑張っても数秒の遅れは必ず出る。だから、ここでの「リアルタイム」というのは、遅れはあるけど、連続的に脳活動を計測・解析し続ける、という意味に近い。「まさに今」、という意味のリアルタイムではない。

それはともかく、そんな面白い技術が今注目を浴びていて、例えば、自分の脳活動を知ることで痛みの感じ方が変わったり、トレーニングによって自分の脳の一部をコントロールできることがわかってきた。

そんなリアルタイムfMRIに関する総説がTrends in Cognitive Neuroscienceに掲載されている(こちら)。そこでは、リアルタイムfMRIの原理と限界、技術的課題の話からその実践例、そして将来の応用性についてまとめられている。

自分の脳活動の一部を自分でコントロールする術を身につけることで、医療に役立てたり(例えば慢性痛、一部の精神疾患の治療)、脳機能の向上に結び付けたり、さらには脳の働き方をより深く理解しようというわけだ。

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参考文献

Trends Cogn Sci. 2007 Nov;11(11):473-81. Epub 2007 Nov 7.
Reading and controlling human brain activation using real-time functional magnetic resonance imaging.
deCharms RC.

今回紹介した総説。
MRIのことに詳しくなくても読めるようにわかりやすく書かれている。関連文献の宝庫でもある。

Proc Natl Acad Sci U S A. 2005 Dec 20;102(51):18626-31. Epub 2005 Dec 13.
Control over brain activation and pain learned by using real-time functional MRI.

deCharms RC, Maeda F, Glover GH, Ludlow D, Pauly JM, Soneji D, Gabrieli JD, Mackey SC.

上の総説と同じ著者による研究。
リアルタイム
fMRIによって痛覚が変化することを示した論文。具体的には、rostral anterior cigulate cortex(rACC)の活動をリアルタイムでコントロールするようにトレーニングすると、痛みの程度とrACCの活動を連動させられるようになることがわかった。さらに、慢性痛の患者さんが同様のトレーニングをすることで、痛みが和らぐことに成功した。

J Neurosci. 2007 Jul 11;27(28):7498-507.
Direct instrumental conditioning of neural activity using functional magnetic resonance imaging-derived reward feedback.
Bray S, Shimojo S, O'Doherty JP.

リアルタイム
fMRIを使って、自分の脳活動を学習によって変化させられることを示した論文。具体的には、体性感覚野の一部の活動があるレベルに達したら報酬を与えるように実験参加者をトレーニングしたら、できました、という内容。有名なFetz実験のリアルタイムfMRI版。

Neuroreport. 2004 Jul 19;15(10):1591-5.
Brain-computer interface using fMRI: spatial navigation by thoughts.

Yoo SS, Fairneny T, Chen NK, Choo SE, Panych LP, Park H, Lee SY, Jolesz FA.

リアルタイム
fMRIをブレーン・コンピューター・インターフェースとして応用した研究例。

Magn Reson Med. 1995 Feb;33(2):230-6.
Real-time functional magnetic resonance imaging.

Cox RW, Jesmanowicz A, Hyde JS.

オリジナルのコンセプトを唱えた論文。

11/24/2007

慈善のない国 日本

「お金持ちは日本では尊敬されない。だから彼らはお金を隠す」

「政府は非営利団体を信用していない」

「患者と研究者との結びつきがない」


最近読んだ記事A Country without Alms「施しのない国」からの引用である。日本の悲しい現実が克明に紹介されている。

この記事では、研究と慈善事業の関係、文化・価値観の日米格差を痛烈に紹介している。単に日本人研究者ではなく、日本人全体から日本のシステムそのものの抱えている問題点を批判している。

この記事に書かれていることはこうだ。

プライベートな非営利団体が研究推進のためにお金を研究者へ提供する、いわゆる研究助成を行うことが、日本では如何に難しいか、アメリカと対比して書かれている。その非営利団体の代表例として、脊髄損傷者のQOL向上を掲げる「日本せきずい基金」のことが紹介されている。ポイントは、日本では脊髄損傷治療に結びつく研究の充実を図る研究助成が難しい、ということである。

その背景としていくつもの問題点を指摘している。
慈善活動・チャリティーに対する考え・価値観がアメリカほど根付いていないこと、政府支援の希薄さ、経済情勢の問題(低金利政策)、お金の使い道の透明度に対する意識・感度の高さ、研究者と患者との連携の少なさ、など。

結果として、多くの非営利財団の資金は、病気等の根絶に結びつく研究助成というより、その運営と病気等の社会的認知度を上げることだけで手一杯という状況にあるのだろう。

慈善活動をしないことの例として、ビルゲイツ氏と孫氏の対比が紹介されている。
両者は、アメリカと日本を代表するお金持ち。前者は巨額の私財を投じて慈善的な財団を設立し、後者は地震などの災害時にチャリティーをする以外何も慈善活動的なことをしていない、と記事にはある。

この記事の写真が象徴的。
その写真で、ビルゲイツの表情は決して良いとは言いがたい。が、きれいな女性の横で満面の笑みを浮かべている日本の金持ちより、ビルゲイツの方が随分良い人間に見えるのは自分だけではないだろう。

この記事の冒頭から大濱眞氏が一貫して登場する。
この方は、32歳の時、ラグビーのプレー中に脊椎を損傷。現在、上述の
NPO法人・日本せきずい基金の理事長を務められている。この方の目標は、第一に、再び自分の手で食事ができるようになること。そして、第二に、脊椎損傷治療に結びつく研究を支援し、自分は例え無理でも、他の脊椎損傷者がいつか第一の目標を達成できるようにすること、とある。

けども、日本では、その控えめとも言える二つ目の目標へ向かうことすら難しい、としてこの記事がスタートする。そして、この記事の締めくくりには、日本ではシンボルとできる有名人がおらず、結果的に、アメリカからスーパーマン・クリストファーリーブをシンボルに立てざるを得なかった現実が紹介されている。

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では、どうすれば大濱氏の目標、特に第二の目標、を達成できるか?

もちろん、この記事で批判されている問題を少しずつ取り除いていくしかない。
ボトムアップ的な宣伝活動、トップダウンとして税制度の大幅な改変など。やはり有名人の中からこういう慈善活動の重要性をブロードキャストするような人が現れることほど効果的なことはない気がする。例えば、テレビに登場する人が大々的に宣伝してブーム的な活動を起こすのは、簡単な気もする。

もちろん、文化的な部分もあるから問題は根強そうで、本当にそういう活動を根付かせるのには時間はかかるのだろう。けど、変えた方が良いと思った人みんなが何でも良いから何かアウトプットするだけでも、随分違う気がした。

なので、自分ができることとして、こんなエントリーを立ててみた。


11/22/2007

ポッドキャスト~英語と科学とお金と

最近、ちょっとした移動の時、iPodにポッドキャストを入れて聞いている。ネイチャーサイエンスネイチャーニューロサイエンスのポッドキャストが中心(各リンクはポッドキャストへのリンク)。そこまでサイエンス馬鹿か、と言われそうだけど、実際いろいろメリットがあるので今回はそれをネタにしてみる。

メリット1:リスニング練習になる
メリット2:論文を読まなくても良い
メリット3:タダ

各メリットについて補足を。

メリット1。
かなり実践的なリスニング練習になる。もちろん、内容がサイエンスだからというのもある。けど、多様な英語を聞けるのがとにかく良い。いろんな言語を母国語として持つサイエンティストが次々と登場する。英国なまり、アメリカなまり?はもちろん、フランスなまり、中国なまり、日本なまりまで。

実際、アメリカで研究していると、いろんな癖のある英語を相手にするわけで、日本にいた時に聞いていた”typical”な英会話教材とは違う本当の英語を聞ける。

ポッドキャストでは、質問&回答という形式が中心だから、質疑応答のイメージトレーニングにもならなくもない。

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メリット2。
神経科学という文脈では、やはりネイチャーニューロサイエンスのポッドキャストはお薦め。最新版は、先日の学会特集で、面白い話題がいくつか紹介されている。ネイチャーに掲載された神経科学の論文がこちらでネタにされることもよくある。論文の著者が直接登場して解説するから、正確さという点ではこの上ない。記憶の残り方も、論文を読んだ時より鮮明な気もする。

ネイチャーとサイエンスのポッドキャストの場合、内容が自分の分野と全く違うトピックが多く、聞いてもよくわからんことが多い。。。(英語以外の問題と信じている)

けど、絶対に読まないであろう論文のアウトラインを知れるのは、ひょっとしたらひょっとして良いことがあるかもしれない。

まだないけど。

ポッドキャストは30分くらいの長さで適量。
聞き終わってもまだしばらく移動し続ける必要がある場合、その内容を自分なりに「反芻」したりするともっと効果的だと思われる。つまり、アクティブリスニングする時間をとれるとさらによし。

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メリット3。
アマゾンにお金を払ってコンテンツをダウンロードする必要はない。タダだから、例えハズレネタでも、聞くのを途中でやめても痛くも痒くもない。ウェブ登録して
iTune経由で簡単にダウンロードできる。

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結論
貧乏科学者にとってこれほど良いものはない。

give thanks ...

11/17/2007

ピアレビュー制度の変革とコンフィデンシャルコメントの賛否

今回のエントリーは完全プロ向け、しかも神経科学者対象。けど脳そのものとは関係なし。

Nature Neuroscienceのエディターがやっているブログのエントリー。(ぜひお読みください)

このエントリーの前半部分では、来年から一部の神経科学関連ジャーナルの査読システムを試験的に変化させることの説明がまずある。

これまでの制度では、次のことが普通だった。

例えば、JNSに投稿したら2ヵ月後くらいにレフリーに散々たたかれてリジェクト。その後、そのレフリーのコメントを参考に論文を手直し。ジャーナルのランクを下げて、例えば、JNPあたりへ投稿。査読結果をまた2ヶ月くらい待つ。。。またリジェクトだったら、また手直しして別のジャーナルへ投稿して、さらに2ヶ月休む。。。という無駄とも思える時間を過ごす。

けど、来年から試験導入されるであろう制度では、1つ目のジャーナルで(良い)レフリーだった人に、別のジャーナル上で明示的に再チャレンジできるようになるらしい。つまり、ジャーナルのランクを落として、リバイス的投稿ができるようになる。「あんたのコメントには応えたし、ジャーナルのランクも落としたし、はよ通して!」という要求ができることになる。これは良い話だと思う。

が、問題はその裏の話で、コンフィデンシャルコメントもジャーナル間で共有することになるそうで、それをどう思うか?コンフィデンシャルコメントそのものをどう思うか?神経科学者全体へ問いかけている。

コンフィデンシャルコメントというのは、論文の著者はアクセスできない、エディターとレフリー間でやり取りされる丸秘情報のこと。その丸秘情報がジャーナル間で共有されても良いか?倫理的な問題も含めてどうか?という問いかけ。

例えば、著者が見れるレフリーコメントにはほめ言葉が書いてあって、「このレフリーは自分の論文に好意的」と思っても、実はコンフィデンシャルコメントではボロクソに叩かれているというリスクもある。

この場合、悲劇は繰り返される。。。
例えジャーナルのランクを下げて、そのレフリーに再チャレンジしてもアクセプトされる可能性は低い。。。
そういうリスクもあるということ。

このエントリーに対して、多くの神経科学者がコメントを寄せている。自分が知ってる超有名人もコメントしている。その中でKochのコメントは簡潔で納得。

この問題、全神経科学者にとって重要な話題だと思われるので、ぜひ原文をどうぞ。

一過的な不均衡化と脳の変化

学習や注意によって、ニューロンの活動の仕方が変化する。その変化を捉え、その仕組みを詳しく調べる研究は、昔から行われている。

最新のネイチャーで発表されたFroemkeたちの論文によると、ニューロンの反応が変化するとき、普段均衡している興奮性と抑制性の入力バランスが、一時的に変化することがわかってきた。

そのバランスが変化する時、まず抑制性入力が下がった後に興奮性入力が大きくなる。その結果、意味のある情報に強く反応できるようになる。そして、興奮性入力は大きくなったまま、一旦下がった抑制性入力は時間と共に大きくなり、興奮と抑制のバランスはまた均衡状態になる。こうして、すでに変化したニューロンの反応の仕方はそのままで、次なる変化(学習)に備えられる。音の情報を処理する一次聴覚野でそのようなことが起こることがわかった。

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では、論文を詳しく見てみる。
まずは今回の研究を理解する上で重要な予備知識として、今回注目した実験系、シナプス入力のバランス、の二つについて説明してみる。

実験系~アセチルコリンと学習
学習、いわゆる可塑性、を調べるための実験方法はたくさんある。その一つに、nucleus basalisNBと略)と呼ばれる脳の底にある神経核と聴覚野との関係を調べる実験系がある。NBという神経核には主にアセチルコリン性のニューロンがいて、脳の底から大脳新皮質全体へ出力を送っている。

今回の研究グループが行った有名な実験がある。
NB
を電気刺激する時に、ラットに特定の周波数の音を聞かせる。その後で聴覚野のニューロンがどの音に応答するか調べた。すると、その周波数によく反応するニューロンがたくさんいることがわかった。ラットがその周波数の音が重要だと学習すると、聴覚野のニューロンがその音によく反応するようになる、という解釈が成り立つ。

今回の研究は、この聴覚野のニューロンがどのように反応の仕方を変化させるのか、その仕組みに迫っている。

興奮と抑制の入力バランス
脳には興奮性と抑制性の出力を送るニューロンたちがいる(こちらのエントリーも参照)。一個のニューロンの入力信号に注目すると、ニューロンは常に興奮性入力と抑制性入力を受け取っていて、その二つの成分は(時間的にひらたくみれば)バランスがとれている。

今回の研究では、その興奮性、抑制性入力が学習(NBの刺激と音の組み合わせ)によってどのように変化するか詳しく調べている。

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さて、論文へ。(できればお手元に論文を用意してください)

興奮・抑制入力の不均衡化
論文としては図1。
ここでは、
NB刺激とペアで聞かせた音に対して、興奮性と抑制性の入力バランスが変化することを明らかにしている。興奮入力は増大、抑制入力は減少する。

実験では、NBを電気刺激する時、ラットに特定の周波数の音を同時に聞かせる。(ラットには麻酔をかけている)そして、NB刺激前後の一次聴覚野ニューロンの反応(入力成分)をwhole-cell記録という方法によって調べている。

一般的に、一次聴覚野のニューロンは特定の周波数にチューニングしている。
1kHzから50kHzの音を聞かせてニューロンの応答を調べると、例えば、4kHzの音に最も反応して、50kHzの音にはほとんど反応しないニューロンがいたりする。ちなみに、ベストな反応を引き起こす周波数をbest frequency(最適周波数?)と呼ぶ。

では今、もともと4kHzの音にチューニングしていたニューロンがいて、それから活動を記録したとする。そして、NB刺激を行う時に、最適ではない2kHzの音をラットに聞かせる。

すると、NB刺激後、興奮性の入力成分はその2kHzで最も大きくなり、最適だった4kHzでの興奮入力は小さくなることがわかった。一方、抑制性入力は、2kHzで小さくなることがわかった。つまり、NB刺激とペアで聞かせた音に対して、興奮性と抑制性の入力バランスが変化することがわかった。

そのバランスが変化した結果として、ニューロンの出力である活動電位(スパイク)も2kHzの音を聞かせた時にたくさん発生することもわかった。

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不均衡化が起こる順序
論文では図2。
ここでは、抑制性入力の減少がまず起こることがわかった。

NB刺激は2-5分間行っている。そのNB刺激中の反応変化を調べたのがこの図2の結果になる。

NB刺激と音刺激を始めた直後から抑制性入力の減少が観察され、興奮性入力の増大は少し遅れて見れることがわかってきた。

つまり、不均衡化が起こる順序は、
抑制性入力の減少→興奮性入力の増大
となる。

さらに、この変化は、NB刺激によって放出されるであろうアセチルコリンの効果であることを確かめている。そのために、アトロピンというアセチルコリン受容体のブロッカーを一次聴覚野に直接投与して同じ実験をしている。すると、興奮・抑制入力は共に変化しないことがわかった。

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どこで変化が起こるか?
論文中で図3。
ここでは、
NB刺激による変化は、視床ではなく一次聴覚野内の現象であることを明らかにしている。

学習がどこで起こるか?というのはいつも問題になる。
今回の研究では一次聴覚野で調べているから、一次聴覚野で変化が見れたのは確か。だからといって、一次聴覚野の中で変化が起こったと結論はまだ付けられない。なぜなら、その一次聴覚野へ入力を送っている別の場所で、実は大きな変化が起こって、その結果が一次聴覚野で見れただけ、という可能性もあるから。

一次聴覚野へ入力を送っている場所は他にもたくさん考えられるが、真っ先に考えられるのは内側膝状体(MGBと略)という視床の聴覚関連核。

そこで図3の実験では、MGBからの入力と一次聴覚野に由来する入力、そのどちらで変化が起こったのかを調べている。実験としては、これまでの実験方法に加え、MGBと一次聴覚野内にさらに刺激電極を追加。それぞれからの電気刺激に対する応答を、NB刺激前後で調べている。もちろん、NB刺激中には特定の音を聞かせている。

すると、一次聴覚野内で電気刺激した時の応答は、これまで通り興奮性・抑制性共に変化していた。一方、MGBを刺激した場合の応答は、変化しないことがわかった。抑制性入力は元から観察されなかったとしている。

つまり、NB刺激による入力成分の変化は、一次聴覚野内の変化を反映したものだとわかった。もちろん、一次聴覚野へ入力を送っている場所はMGB以外にもたくさんあるので、それらの場所で変化が起こっている可能性は完全に排除はできない。けど、少なくとも一次聴覚野内で変化が起こったのは間違いなさそうだ。

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再均衡化
論文中の図4。
ここでは、一旦崩れた興奮性と抑制性のバランスが、1時間以上かけて再び均衡化することがわかった。

ここでの問題意識はこう。
普段、興奮と抑制のバランスは取れているのに、学習(
NB刺激と音刺激の組み合わせ)によって一旦そのバランスが崩れる。では、その崩れたバランスはそのままなのか、それとも再びバランスが取れた状態になるのか?ということ。

それを調べるには、一個のニューロンの反応を長時間調べ続ける必要がある。けど、それは技術的に難しい。一方、一次聴覚野には、同じ音にチューニングしたニューロンが近くに偏っていることがわかっている。もしそのニューロンたちが同じような変化をすると仮定すると、1個目のニューロンを記録中にNB刺激で変化を起こし、近傍の2個目、3個目のニューロンで、長期的な変化を追っていこう、という戦略を立てることができる。

その戦略で実際調べてみると、一旦下がった抑制入力が時間と共に大きくなっていく様子が見えてきた。一方、増大した興奮性入力は増大したままなので、例えば、16kHzから4kHzにチューニングした反応はそのままで、崩れた興奮・抑制バランスが再均衡化する、というなんとも美しい話になる。

なお、NB刺激後に音をならさずに、そのまま放っておくと、不均衡化はより長く続くこともわかった。つまり、この再均衡化は活動依存的、ということになる。

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まとめ
NB刺激によって起こる一次聴覚野で起こる可塑的変化では、まず抑制性入力が減少した後に興奮性入力が増大する。その不均衡化は1~2時間で再び均衡状態になる。その際、興奮性入力の増大は維持されたまま、一旦減少した抑制性入力が増大する。結果として、NB刺激によって起きた変化は維持され、経験の痕跡となる。

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個人的な感想

この論文、新規分野を開拓というわけではないかもしれないが、多くの神経科学者へインパクトを与える超重要な論文だと思う。

他の感覚系で可塑性を研究している人たちはもちろん学ぶことが多そう。アセチルコリンが絡んでいて、一次聴覚野内で可塑的変化が起こっているなら、今後スライスレベルの研究に落として、詳しいメカニズムを調べるという方向もあり。1,2時間で再び均衡化するという現象と、シナプスの構造変化や分子レベルのメカニズムと絡めて考える研究者もいそう。今回の結果を信じると、抑制性入力の変化は非常にダイナミックなわけで(しかも刺激依存的)、それを支える仕組みを調べることは、今後の一つの研究トピックになる気がする。

この論文、実験内容はもちろん、論文としてのアウトプットの仕方という点でもすばらしい。

実験内容
技術的に難しいことをやってる点がすごい。最近は、
in vivo whole-cell記録はいくつものラボでやってるからともかく、それにNB刺激実験を組み合わせて1回1時間近くの記録をやっている。特に、図3の実験、多くの人は手を動かす前に断念しそうなくらい大変そう。それをやってる。こういうことをしっかりやるというのが、良い論文を書くには重要なのだろう。

論文の書き方
実験内容とデータだけでも十分ネイチャー論文のレベルに達してると思うけど、論文の書き方という点からも非常にお手本になる論文だと思った。例えば、要旨。広い聴衆をひきつけておいて、発見内容のエッセンスを書いて、言いたいことを言って締めくくっている。

本文も簡潔な導入で、ストーリー性のあるクリアな記述。さすがネイチャー論文という気がした。

べた褒めするのもなんなので、ちょっと気になったこと、つっこみどころを、専門度を上げてつぶやいてみる。

麻酔、脳状態が変わるとどうか?
もちろん、今回のような実験は麻酔下の動物でないとできないので(この論文が出たから覚醒下でやってみようという人も出てくるか?)、麻酔を使うのは良い。今回使っている麻酔はこの研究グループが一貫して使い続けているペントバルビツール。これは気にした方が良さそう。

この麻酔は抑制作用が他の麻酔よりもかなり強烈なことで有名。例えば、いわゆるUPDOWN状態はほとんど見れず、脳状態はDOWN状態のまま。その意味では、睡眠中の動物の脳でも絶対に見れない脳状態で研究したということは気にしておく必要がありそう。

実際、聴覚系の研究で、麻酔薬の違いで、研究結果が食い違うことも知られている(参考文献を)。ということで、今回の研究結果は、今後、よりナチュラルな条件でどんなことが起こっているかを調べる良い仮説を提唱した、と捉えても良さそう。

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細胞多様性とさらなるメカニズム
多様な細胞種すべてに同じルールを適用できるかは、今後の一つの課題。
記録した深さは400-1100ミクロンとある。細胞種の記述は一切ないがたぶん錐体細胞だったと思われる。ということは、3-5層あたりの錐体細胞を中心にサンプルしたことになるか。ということは、3、4層の細胞で今回の結果が見れたというのは、本当か、特に図3がちょっと気になるところではある。ちなみに、3、4層は聴覚野では、視床からの入力を強く受けているところ。3層の一部や5層細胞の記録で、視床刺激によって抑制性入力が全くみれなくて良いのか、ちょっと疑問。例えば、フィードフォワード抑制の回路は全く働かないくらい小さな電気刺激だったのか?

細胞種という点では、個人的には、もっと浅い層で調べたらどうか、というのは非常に興味あり。それから、抑制性入力が落ちるということは、もし抑制性ニューロンから記録したら、違う傾向を示すニューロンがいる可能性もある。そうでないとまずくないか。このあたり、さらなるメカニズムを知るための大きな課題になりそう。一応、抑制性ニューロンから
in vivoパッチやってる研究もあるけど、技術的に大きな壁が立ちはだかっている。イメージングでアプローチするのも、克服すべき問題がたくさんある。(シナプス入力成分をどう解析するか?)とにかく、細胞多様性とさらなるメカニズムの研究は個人的には最も興味のある問題。

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STDPは起きないか?
今回の論文のsupplementary Fig.4、実は面白い。STDP的な可塑性を観察できていないことを示していると理解した。このあたり、実験デザインがSTDPにフィットしてないだけなのかちょっと自分にはわからないけど、聴覚な人たちを中心に、ちょっとした論争になる気がする。。。

次は、今後の課題などを。。。

NBの役割
NBは覚醒時とREM睡眠中に激しく活動する
今回の結果、
REMと記憶の固定化の関係は希薄ということと、矛盾はしないとは思う。けど、REM睡眠中のアセチルコリン、いったい何をしているのだろう。

それから、NBの細胞はすべてアセチルコリン性というわけではなく、そうでないニューロンもいる。NBを電気刺激すると、その両者が活動するだろうから、NBにいる非アセチルコリン性ニューロンも今回の現象に一役かっている可能性はないだろうか?(アトロピン実験はあるけど)

少なくとも、ニコレリスたちの説(参考文献参照)と矛盾しないか気になるところ。その説では、非アセチルコリン性ニューロンの活動は、皮質での脱抑制、ガンマオシレーションのトリガーに寄与しているのでは?としている。脱抑制という点では、今回の結果と同じなわけで、脱抑制的現象が単にアセチルコリンだけで説明できるのか、そうでないのか?(時間スケールの違い?脳状態の違い?)

わからないこと
アセチルコリンによって、多くの抑制細胞の活動が抑えられ、つまり脱抑制が起こって、興奮性が上がる。それはたぶん良い(上のニコレリスの説はおいといて)。けど、どうやってペアリングされた音に対してのみその変化が起こるのか?ペアリングした音はもともとの最適周波数ではないから、その音を最適周波数とするコラムから来る側方抑制が減る、ということになるのか?とすると、興奮・抑制の不均衡化とうまくなじむか。つまり、側方抑制と馴染が悪い興奮抑制の均衡化、ラット一次聴覚野では一時的にその側方抑制の効果が顔を出す、と理解すれば良いのか。

逆に、もし最適な周波数でペアリングしても同じことが起こるのか?それとも何も起きないのか?ちょっと興味がある。けど、これはマイナーか。

一過的な興奮性の増強を長期的な変化にしつつ(今回のデータでは区別できていないけど)、抑制性入力を再び増やす仕組みはいったい何か?前者は、過去にさんざんやられてきた可塑性研究とリンクさせられそうだけど、後者はどうか?時間スケールの違う現象が少なくとも二種類の細胞集団(興奮性と抑制性ニューロン)でごちゃごちゃ込み入っていてなかなかイメージしにくい。

とにかく、この研究から派生する研究・問題はたくさんありそう。

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参考文献

Nature. 2007 Nov 15;450(7168):425-429.
A synaptic memory trace for cortical receptive field plasticity.
Froemke RC, Merzenich MM, Schreiner CE.

今回紹介した論文。

Science. 1998 Mar 13;279(5357):1714-8.
Cortical map reorganization enabled by nucleus basalis activity.
Kilgard MP, Merzenich MM
NB
刺激によって一次聴覚野ニューロンの反応特性が変化することを示した。

Nature. 2003 Nov 27;426(6965):442-6.
Balanced inhibition underlies tuning and sharpens spike timing in auditory cortex.
Wehr M, Zador AM.

一次聴覚野では、興奮性と抑制性入力のチューニングが均衡していることを示した論文。それに加えて、彼らの言う「バイナリースパイキング」のメカニズムを説明している。(バイナリースパイキングはいろいろ物議をかもしてはいるが。。。)

Neuron. 2005 Aug 4;47(3):437-45.
Synaptic mechanisms of forward suppression in rat auditory cortex.
Wehr M, Zador AM.

メインポイントというわけではないが、麻酔によって見える現象が違うことを示している。今回紹介した話もこうなる可能性は十分ある。

J Neurophysiol. 2006 Dec;96(6):3209-19. Epub 2006 Aug 23.
Fast modulation of prefrontal cortex activity by basal forebrain noncholinergic neuronal ensembles.
Lin SC, Gervasoni D, Nicolelis MA.

ニコレリスの説。ただ、この論文では、非アセチルコリン性ニューロンの分類根拠はあまりにも弱いので、どれくらいの人が信じているかは不明。今回紹介した論文と全く関係ないかもしれない。(こちらで説明済み)

11/10/2007

学会を終えて

サンディエゴでの学会の感想等をつづってみます。

コネクトームブーム到来??

今回参加して、おそらくこれから数年間のうちにconnectomeというフレーズを謳う人がたくさん出てきそうな気がした。ゲノム(genome)プロジェクトが全塩基配列の決定だったら、コネクトームプロジェクトは、connection(結合)、脳の配線を調べつくそうという話。

間違いなくブームになりそう。
presidential special lectureの人選からそれを感じた。connectomeのパイオニアVan Essenらしい人選。

ということで、connectome絡みの比較的最近の論文を思いついた範囲でいくつかピックアップしてみると、

PLoS Comput Biol. 2005 Sep;1(4):e42.
The human connectome: A structural description of the human brain.
Sporns O, Tononi G, Kotter R.

神経束を生きたまま可視化できるというMRIDTI/DWI)を主に使ってhuman connectome、人の脳配線を決めること、をやろうという提案。(以前こちらでも紹介)

Nat Methods. 2007 Apr;4(4):331-6. Epub 2007 Mar 25.
Ultramicroscopy: three-dimensional visualization of neuronal networks in the whole mouse brain.
Dodt HU, Leischner U, Schierloh A, Jahrling N, Mauch CP, Deininger K, Deussing JM, Eder M, Zieglgansberger W, Becker K.

新しいタイプの光学顕微鏡。どれくらい汎用性があるのか、自分にはわからない。小さいサンプルなら使えるか?(以前紹介済

Nat Methods. 2007 Nov;4(11):943-50. Epub 2007 Oct 28.
Two-photon photostimulation and imaging of neural circuits.
Nikolenko V, Poskanzer KE, Yuste R.

ごく最近発表された論文。単一細胞レベルで、ニューロン間の結合(機能的な意味での結合)を調べられる。すべて光学系でできそう、というスゴワザ。まだスライスレベルとはいえ、かなりやばい。

PLoS Biol. 2004 Nov;2(11):e329. Epub 2004 Oct 19.
Serial block-face scanning electron microscopy to reconstruct three-dimensional tissue nanostructure.
Denk W, Horstmann H

Curr Opin Neurobiol. 2006 Oct;16(5):562-70. Epub 2006 Sep 8.
Towards neural circuit reconstruction with volume electron microscopy techniques.
Briggman KL, Denk W.

自動電子顕微鏡(serial block-face imaging)。connectomeのキラーツール?光学計測では見えないところが見えるので、圧倒的に有利で正確。自動化によって生産性が上がって、画像処理技術が大幅に向上すれば、他の方法はいらないかも。原理的には、分子局在の情報も載せられるか?統計的に考えれば良い、という立場を取れば、学習前後の配線・分子局在の変化だって研究対象になる気もする。ニューロンとグリアを同時に調べられる。いろんな夢が膨らむ。

今回のレクチャーでdiffusion MRIの話もあったが、個人的には5~10年以内に、死後検体のサンプルを自動電顕装置で調べ尽くす究極のhuman connectome project version 1.0が始まってもおかしくない気がする(かなり好い加減な見通し)。どれくらい膨大なデータサイズになるか知らないが、Googleの協力でも得てGoogle EarthバリのGoogle Brainが公開される日も遠くない気がする。(こちらを読むとそう楽観できないか?)

それはともかく、
connectomeがブームになろうがなるまいが、システム研究に如何に遺伝学を絡めるかということが、さらに重要になることを痛感した。その意味では、ハエのシステム研究から多くを学べそう。とすると、哺乳類を研究対象にするなら絶対的にマウス優位の時代到来?Brainbowの応用も面白そうだし、少なくとも大脳新皮質に関してはAllen Instituteが良いインフラを整備してくれそうな雰囲気。

いろんな意味で、rich-get-richerが加速気味のサイエンス業界。如何に良いサイエンスをやるか?ということを、手を動かす前に考えないとホントにやばい気がした。そんなこと言われなくてもわかってるけど、実践するのはホントに難しい。。。単に競争が激化している以上に恐ろしい時代に突入している気がした。

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学会で気になったこと

個人的には、学会はまだ論文になっていない「未発表データ」を話す場だと思っている。けど、相変わらず未発表データを持っているはずなのに、すでに論文になってるデータだけ発表して、他の人の未発表データを聞こうとする利己的な人が結構いたように感じた(ホントに未発表データがないのかもしれないけど)。「未発表データなしポスター」「発表データのみを発表する参加者」といったカテゴリーを設けるなどして、何か淘汰圧をかける仕組みが必要な気もする。競争が激しいから、、、という気持ちもわかるけど、自分だけデータを隠すというのはアンフェア。もしみんな同じ行動を取ったら学会は単なる顔合わせの場くらいの意味しか持たなくなる。ちょっと考えさせられた。

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と、まじめなことを書いた後は、ちょっと気楽に。


自分の発表

今回は、聴覚系のサテライトイベントでの口頭発表が最大のタスクだった。

何とか無事?に発表を終えた。それにしても緊張した。。。中には「緊張して手が震えてうまくポインターを指せません」と言ってウケを取っている人もいた。その人に比べたら緊張具合はまだましだったか?

口頭発表の直前にポスター発表の時間があった。
自分の英語はやはり相手に聞き取りにくい、と感じたので、口頭発表中はできるだけゆっくり話すように心がけた。それから、あらかじめアニメーションをしかけまくっていたのも奏功か。

聴衆の注意のコントロールは建前、自分のトークの手助けが本音。

規模は100人くらいだったか?
数千人を前にしたレクチャーで、スライドをほとんど使わず一時間くらい話せる人というのは、経験以上の才能があるのだろう。。。(トーク遺伝子?エンターテイナー遺伝子?)

ちなみに、今回の学会の直前、実は毎年恒例の研究所内ミニシンポジウムでもトークをしていた。その時は、誰からも「良かった」というコメントはかけられなかったけど(悲しいかな。。)、サテライトシンポジウムでは知らない人からもいろいろ声をかけられた。もちろん、外人のほめ言葉は8割引くらいで考えた方がいいだろうけど、ゼロでなかったのは良かった。質疑応答も、比較的イージーな部類の質問だったので、何とかお茶を濁せた気がする。

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ポスター発表は、サテライトイベントと学会中と2回発表。

トークの練習を積んでた分、ポスター発表はかなりリラックスしてできた。学会中のポスター発表では、前日ケンがトークしたおかげか、聴覚研究者以外の人たちにもたくさん来てもらった。ラボ全体的に盛況だったと思われる。やはり中日(なかび)のポスター発表は良い。

このブログをご覧になられて来られた方、ポスターのコピーのリクエストまでいただいた方、ありがとうございました。気軽にメール等でご感想・ご意見等をお聞かせください。ポスターに関係なくても大歓迎です。

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ソーシャルネタ

やっぱり学会は、夜。
今回は、10人以上の食事・パーティーに参加する機会に恵まれた。

学会初日は、基生研時代の知り合いに誘われて、少し遅れて食事会に参加。名前・顔は知っていたけど、話をしたことのなかった人たちとも話ができて有意義な時間を過ごせた。2次会はバーに行ったけど、うるさくて至近距離の人と会話するのにも一苦労。。。(ありがち)

2日目は、pooneilさんのところにもあるように、しげさんを誘って神経科学者SNSのオフ会に参加した。昔からpooneilさんは一方的には知っていたけど、こういう形でお話ができたのは今回初(ASSCの時はポスター発表を聞いただけだったし)。ブログをやってるおかげか、自己紹介なしでそれ以上の文脈で会話をスタートできるというのは結構良いかも?参加者全員と挨拶はできなかったけど、他にも大学院生やポスドクの方たちと話す機会があって充実のパーティーだった。

火曜日は、ラボのパーティーとバッティングしてしまったけど、もとから参加予定だったNY/NJ地区日本人研究者呑み会に参加。これまた初めてお会いする人がたくさんいて、いろんな話ができた。二次会は、いつもこってり絡んでる面子を中心にバーへ。

やはりナイトサイエンス?は重要。

それにしても今回、このブログを読んでいただいている方にたくさんお会いできた。自分のネームプレートを見て「読んでます」、お世辞でも「勉強になってます」などと言ってもらってうれしかったです。ありがとうございました。これからはこちらでも声(コメント)を気軽にかけてください。