重要な論文が新着のNeuronに出てます。
Reynoldsたちの論文。
その論文では、「注意タスク」をこなしているマカクザルの視覚野(V4)からニューロンたちの活動を計測している。そのタスクでは、視線を動かさずにターゲット刺激を(心の中で)トラックし続けないといけない。
研究からわかったことを一言でいうと、
遅い神経活動の「ゆらぎ」が注意によって減って、神経集団活動のSN比が改善する
ということ。
テクニカルには、個々のニューロン、ニューロンペアについて活動の変動性(ここでいう「ゆらぎ」)を定量しながら、エレガントにデータを示している。「神経集団活動のSN比」に関しては、Zoharyらの論文と同じ方法で解析している。つまりは、注意による影響を加味しながら、ノイズ相関と情報表現の問題に取り組んだ研究ということになる。
「遅い成分」という部分がホントかどうかは、別の計測法、解析などで検証しなおす必要がある気もするけど、主張はとにかくすばらしいと思った。
文脈としては、注意の研究としての文脈もあるだろうけど、ShadlenとNewsomeが中心として議論されてきた問題との絡みが本質と僕は理解した。ただ、Discussionはかなり混乱しているようにも思えた(CohenとNewsomeの研究との比較については、文量の割りに単に逃げてるようにしか見えない。。。もっと今回の論文の重要性を指摘すべきではないか)。
とにかく、この論文は重要な現象を報告しているので、Discussionで議論しているたくさんの問題がどうクリアになっていくのか個人的には注目したい。膜電位を計測しながらこの問題を考えたいところ。
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文献情報
Neuron. 2009 Sep 24;63(6):879-88.
Spatial attention decorrelates intrinsic activity fluctuations in macaque area V4.
Mitchell JF, Sundberg KA, Reynolds JH.
クリアな解析、クリアな結果の提示法、論文の書き方、いろんな点で学ぶことが多い論文。
追記:
最近出たKohnとSmithたちの総説はすばらしく良くまとまってます。
9/26/2009
注意によって減る神経集団活動の遅い変動性
posted by Shuzo time 11:15
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