実は、以前の研究から、SNARC(spatial-numerical association of response codes)効果(PDF)というのが知られている。例えば、スクリーンに数字を表示して、それが偶数か奇数か答えてもらい、その反応時間を測ってみる。すると、小さい数をスクリーン左側に表示すると早く反応し、逆に大きい数は右側に表示すると早く反応する。つまりは数と空間認識との間に密接な関係がある、ということを示す行動レベルでの効果でもある。
Hear Res. 2007 Jul;229(1-2):180-5. Epub 2007 Jan 17. Toward the mechanisms of auditory attention. Hromádka T, Zador AM. 今回紹介した総説。 Hearing Researchという専門性の高い雑誌ということで、聴覚研究者をターゲットに書かれている。視覚でバリバリ注意を研究されている方には、聴覚研究はこんなものか、と思われるかもしれません。。。ただ、げっ歯類を対象にした研究という点で、回路・シナプスレベルの注意研究への期待を持てるかもしれません。あと、書き方は参考になります。
Zador研の最近の論文のうち、この総説で書かれていることと関係する論文を(他にも重要論文たくさんアリ) Nat Neurosci. 2009 May;12(5):646-54. Epub 2009 Apr 12. Engaging in an auditory task suppresses responses in auditory cortex. Otazu GH, Tai LH, Yang Y, Zador AM. 新規性に関してはコメントは難しいけど、iPodならぬrPod(rはratのr)を開発して、いろんな観点から注意による活動減少を調べた点は評価して良いと思ってます。ただ、神経集団の計測規模をもっと上げたらどうなるかは注意が必要か。
Science. 1959 May 8;129(3358):1279-80. Attention units in the auditory cortex. HUBEL DH, HENSON CO, RUPERT A, GALAMBOS R. Hubelらの研究。ネコが音源に注意を向けた時にだけ聴覚刺激に応答する”attention units”を聴覚野から報告していて、10%くらいこのカテゴリーに入るのではないかと見積もっている。さらに、注意という変量を定量することの困難さも指摘している。「聴覚野と注意」という点では最初の研究か。
Science. 1971 Jul 23;173(994):351-3. Human auditory attention: a central or peripheral process? Picton TW, Hillyard SA, Galambos R, Schiff M. クロスモーダルな注意(音と光が同時に呈示されて、どちらかの感覚モダリティーに注意を向けること)を調べる実験系をはじめて導入した先駆的な研究の一つ。論文の扱っているトピックとしては、上述の蝸牛核での注意による影響をヒトで調べたけど、再現できなかった、というネガティブデータで論争を巻き起こそうとしている様子。(そもそも計測法、計測対象が違うんだから、ネガティブデータを得たところで論争を巻き起こせるのか?という気もするけど、当時の研究文脈としては重要だったのだろう。)現在、この論争がどうなっているか気になるところ。
Proc Natl Acad Sci U S A. 2009 Apr 21;106(16):6556-60. Epub 2009 Apr 13. Cognitive gains in 7-month-old bilingual infants. Kovács AM, Mehler J. こちらは7ヶ月齢のバイリンガルとモノリンガルの、いわゆるcognitive controlの能力を調べていて、バイリンガルの子達がモノリンガルの子達よりよくできる、というデータを出してきている。
Nature Reviews Neuroscience 10, 530-540 (July 2009) | doi:10.1038/nrn2653 Principles of neural ensemble physiology underlying the operation of brain–machine interfaces Miguel A. L. Nicolelis & Mikhail A. Lebede 今回扱った総説。 plasticityのところはしっかりフォローしてなかったので面白かったです。