ということで、SFN2007まで1ヶ月を切った。
神経科学関連の方には今更だけど、神経科学者がよく使うSFNとは、Society for Neuroscienceの略。アメリカの神経科学学会、特にその年次大会(Annual Meeting)のことを指す。
今年は11月3日からサンディエゴで開催される。
アメリカの学会だが、毎年2万人以上の神経科学者が、日本も含め世界中から参加する。とにかくバカでかい。
ポスター会場で、超有名人に会うこともしばしばある。バカでかいけど、論文でしか知らなかったそういう人と距離感を近づける良い機会だったりもする。
そんな学会がもうすぐあって、自分のいる研究室からも何人か発表する。そこで今回は、ラボの発表内容の宣伝を。(このエントリーの目的は、結局これ)
ちなみに、要旨集が公開されていて、会員でなくともフリーでアクセス可能。(相変わらず使い勝手が悪いけど・・・)
ラボメンバーの演題番号は、109.5、それから389.12から389.16までの連番。
検索の仕方は、Advanced Searchに進んで、Author(First Name)にKenneth、Last NameにHarrisとたたいて検索する。
発表時間は、日曜日の午前と月曜日の午前となっている。
まず日曜にボスがトークして、翌日、部下のポスター発表、となかなか理想的な順番か。
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では、そのボスのケンから、、、
(109.5) Cortical UP States: Sequential Structure and Homology to Sensory Responses
(Sunday, Nov 4 2007 9:35 AM - 9:55 AM)
というタイトル。
彼はThe Upshot of Up States in the Neocortex: From Slow Oscillations to Memory Formationというミニシンポジウムのシンポジスト。彼のvisibility、アメリカでは結構高まっている気がする。
ミニシンポジウム全体の内容はいわゆる「UP状態」、スローオシレーションの話。記憶の固定化の話も若干絡みそうだ。いろんなレベルの研究者がスピーカーとして選ばれていて面白そう。
ケンは、ラット聴覚野のUP状態中と感覚刺激処理中の神経集団活動についてトークするだろう。以下で紹介するアーターの話が中心かと思われる。ひょっとしたら、うちのラボでやってることのダイジェスト的な内容になる可能性も大。実は、彼の生トーク、一度も聞いたことがなかったので、自分自身、最も楽しみにしている演題の一つだったりする。
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続いて、部下のポスター5つ。すべて11月5日(月)午前。
1.(389.12/GG7) Internal dynamics yield to external sensory control during cortical desynchronization
(Monday, Nov 5 2007 11:00 AM - 12:00 PM)
2.(389.13/GG8) State-dependence of sensory-evoked responses in neocortex
(Monday, Nov 5 2007 8:00 AM - 9:00 AM)
3.(389.14/GG9) Sparsening and compression of information across cortical laminae
(Monday, Nov 5 2007 9:00 AM - 10:00 AM)
4.(389.15/GG10) Spontaneous events outline the realm of possible sensory responses in auditory cortex
(Monday, Nov 5 2007 10:00 AM - 11:00 AM)
5.(389.16/GG11) Interaction of internal dynamics and temporally structured stimuli in auditory cortex
(Monday, Nov 5 2007 11:00 AM - 12:00 PM)
1は大学院生ステファンの発表。
脳の状態が違うと、聴覚刺激を処理中の聴覚野ニューロン集団が、どう挙動を変えるか?という話。
2はカリーナ。
彼女は生後3ヶ月くらいの赤ちゃん連れでプレゼンを敢行するはず。隣で発表する自分にとって、今回最大の脅威である。なぜなら、聴衆は間違いなくポスターより赤ちゃんに注意が向くはずだから。。。発表中、おむつ交換の手伝いをさせられるリスクもあったり、なかったり。。。旦那ヴラディミアがベビーシッターをするのだろうか。。。
それはともかく、彼女の発表内容は、ステファンの研究に近い。脳の状態が違うと感覚野の挙動はどう違うか、という問題に、実験データとモデルの両方から迫っている。
3は自分。
聴覚野で、層が違うと情報コーディングという点で何が違うか、という話。昨年の発表よりはグレードアップしていると思われる。そうでないと困るか。。。一方、英語はマイナーチェンジ程度で停滞中。それに困っている。。。
4はラボのエース、アーター。
彼の話は、今年PNASに発表した話の続報。なので、最もハイ・デフィニションな内容である。HD-posterとでも呼んだら良いか。彼の話を聞きに来たついでに、ぜひ私のところにも寄ってください。
5は大学院生のリアド。
彼女は今回初参戦。彼女の内容、実は、よく知らない。。。たぶん、アルフォンソとケン以外は知らないと思われる。。。(良いのか?)タイトルからして、急性実験のデータを話すのだろう。というか今、遅めの夏休み(秋休み)を取っている。こんな時期に。。。(良いのか?)
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ポスター発表は、聴覚系のセッションではあるが、聴覚に興味がない方にも面白い内容盛りだくさん。特に、ニューロン集団がどんなことをやっているか、という問題に興味がある人にはぜひ来て欲しい内容。と大風呂敷を広げてみたり。。。(あくまでも宣伝ということで)
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APAN2007
長くなったが、「聴覚な人」には、毎年プレイベントとしてAPANというシンポジウムが開催されている。そこでは、ケン以外全員ポスター発表する。自分はなんとオーラルにも選ばれてしまった。。。ポスターとオーラルのダブルヘッダー。。。
日本語ですら、学会等の公の場でプレゼンしたのは一回しかない。。。選ばれたのはとても光栄だが、自分が英語できないことを知って、いじめてやろう、という意図で選ばれたのか、とさえ思ってしまう。確かに、演題をチェックすると、ビッグネームのラボと内容が競合していて、その人からオーラル発表のお誘いが来た。。。
聴覚系研究者は人口がまだ少ない分、一部の有名人でカルテル的な組織を作っている雰囲気を感じる(どこもそうかもしれんが)。今回も、そのシンジケートのトップが各セッションのチェアだったりする。そのカルテルの一員に嫌われると、おそらく今後論文を通す時の大きな障害になる気もする(あくまでも想像)。
ということで、ポスターとスライドの両方を用意することになってしまって、今、結構テンパっている。。。
とにかく、聴覚系の人に顔を覚えてもらう非常に良いチャンスではあるか。
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最後に、このブログを見て来られた方は、「ブログ見ました」「ブログ見てます」と一言いっていただけると、かなりうれしいです。ぜひ気軽に声をかけてください。
2 comments:
ブログいつも楽しみに読ませていただいています。プレゼンの準備で大変そうですが、頑張ってくださいね。応援しています。
choinaさん、こんにちは。
この業界で生きていく以上、英語のプレゼンは避けて通れないので、討ち死に覚悟で頑張ってきます。
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