12/06/2008

大脳皮質の中のモチーフ

1年以上前、日本神経回路学会誌に解説記事を書かせてもらった。
その抄録全文PDFが公開されていることに気がついた。
(金銭上の都合で別刷りを買わ(え)なかったので、実は、最終的にどんな形で出版されていたのか知らんかった。。。)

扱っているテーマは、
ネットワーク科学を応用した、大脳皮質回路(マクロレベル)の構造解析。

日本にいた時の仕事であるこちらこちら、そしてその周辺分野について、自分の知識内でまとめている。

少なくとも、このブログよりは気合いを入れて書いたので(当たり前か?)、それなりの情報は詰め込まれているのではないかと思われる。

気合空回りで書き過ぎのところや、途中のテクニカルな部分(モチーフ検出法)、脳と社会ネットワークとの比較の部分、などは読み飛ばしてもらっても、後半はそれなりに面白い問題・課題をいくつか指摘しているのではないかと、今読み返しても思う。

書いて1年経ってもほとんど進展していない問題もある。それは、重要なのだけども難しい問題と思うか、それとも、誰もケアしないどうでもよい問題と思うかは、読み手に依存する。

たくさん文献を引用するように心がけたので、情報源から自分なりに問題を考えるのにも使える。

と、生意気こいてますが、実はこの解説記事、いわゆるピアレビューを経ずに出版されているので、間違った解釈をいろいろしている可能性があります。

プロの方や興味を持たれた方と、メールなどでも何でも良いので、いろいろ意見交換が出来ればなぁと思っています。

とにかく読んでください!

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参考情報

<文献情報>
坂田 秀三: (2007) 大脳皮質の中のモチーフ : 計算論的神経解剖学とネットワーク科学の接点
日本神経回路学会誌, Vol. 14, No. 3, pp.205-217 .

The Brain & Neural Networks (Journal of Japanese Neural Network Society) 14 (3), 205-217, 2007
Motifs in the cerebral cortex: Links between computational neuroanatomy and network science.
Sakata S.


<この記事に関連したブログエントリー(旧ブログより)>
書き物
ヒトの脳内ネットワークをグーグル的に調べ尽くすには?
脳内環境問題
ネットワークモチーフ
大脳皮質の中の階層性~Hilgetag et al. Science 1996~
コミュニティーの運命を決めるルール
脳と人間関係のアナロジーを考える

<おまけ>
解説記事の冒頭に引用文がある。

There are three departments of architecture: . . . All these must be built with due reference to durability, convenience, and beauty.
- Marcus Vitruvius Pollio


これは、神経系関連の本からパクったのではなく、手さぐり的にググってたどり着いた文章。(だから、見るけるのに意外と時間がかかっている)

引用した意図は、durabilityがロバストネス、convenienceが高い機能性、beautyが規則性を持った構造、をそれぞれ連想させて、一目惚れした文章。

ちなみに、このMarcus Vitruvius Pollioという人は紀元前の人らしく、現存する最古の建築理論書らしいDe Architecturaを書いたとのこと。その本の英訳が、正確な場所は忘れたけど、ウェブ上にあって、そこから拝借した。

オリジナルの前後文脈を全然理解せずに引用しているので、とんでもない誤解をしているかもしれないけれど、、、

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