3/07/2009

コサイン

Cosyne 09へ行ってきました。

このミーティングは今回初参加だったので感想などを。

メインミーティングワークショップに分かれていて、今回は前者だけ参加したので、ワークショップ(露骨にスキーリゾートで開催される)のことはわかりません。

---

そのメインミーティングはソルト・レーク・シティーのダウンタウンで開催され、そのあと、スキーリゾートへ移動し、2日間、ワークショップが開催される。ワークショップもなかなか良いらしい。(昼間スキー用の時間が、これまた露骨に設けられたりするし。。。)

参加する前は計算論的な話が多いのかと思ったら、意外と実験データを見る機会が多かった。いわゆるシステムズ・ニューロサイエンス、といったら良いのか。システムとして実際の脳を研究している話が多かった。実験の方法論は、電気生理はもちろん、fMRI、それからオプトジェネティクスなどなど。

アメリカからの参加者が大半だった印象は受けたけど、日本、ヨーロッパからの参加者もおられた。規模は全体で500人くらいだろうか。ホテルの「大宴会場」に全員入る規模で、みんなで朝から夕方までトークを聞いて、ポスターを夜から深夜まで見る、というスケジュール。なので、すべての発表演題を、みんなでシェアできる。

トークは2時間くらいのセッションに分けられ、まず招待講演者がトークをし、その後、参加者の中から選ばれた人が15分だけトークする。トークの質はなかなかハイレベルだった。ほとんどの人が未公表データを話した。

ポスターは全部で300演題で、1日100ずつ発表。
今回は採択率が80%くらいしかなかったそうで、ポスターも質の高いものが多かった。それだけ密度が濃い。

---

メインミーティングに参加して、SFNのミーティングと強く感じた違いは、同じ人と何度も接触する機会に恵まれること。あらかじめ約束してなくても、知り合いと会えるし、新しい知り合いを増やす機会にも恵まれていた。

SFNはでかすぎて、、、と思っているシステム寄りの研究者にはなかなか良いミーティングだと思った。

ただ、ミーティングの初っ端に、オーガナイザーが、
参加者は年々増加しているけど、採択演題数はこの数年頭打ちにしている
と言っていた。

その結果として、演題採択率は年々減少しているらしい。今後、Cosyneが巨大化していくのか、演題数は保ったまま「質」にこだわるのかは注目。

それから、オーガナイザーが他に言っていたこととして、演題を募集してからミーティングが開催されるまで、数ヶ月の時間差しかない、ということ。SFNの場合、半年くらいの時間差がある。

という感じで、未公表で質の高い情報を効率良く収集するには良いミーティングだと思った。

ちなみに、会場のソルト・レーク・シティは、思ったほど寒くなく(平年より暖かめだったから?)、レストランも会場周辺にいくつかあって、少なくとも数日間の滞在には悪くないところだった。ホテルの値段もSFNのそれに比べたら格安(1泊100ドル強)。

という感じで、できれば(お金と時間があれば)参加し続けたいミーティング。

---
以下、気になった演題とつぶやきを。
(アブストはすでに公開されていて、引用可能な論文冊子として出版されているので、ブログで少し書いても良いはず。。。たぶん。。。)

Internal representations of the olfactory world, Richard Axel
梨状皮質の神経集団活動をtwo photonで見ていた。マップがない知覚はいったいどうなっているんだろう?、と素朴な疑問を持った。

Multiple-electrodes, brain rhythms, and cognition, Earl K. Miller
「スポットライト」のシフトは面白いと思った。またトップジャーナルでお目にかかれそうなデータか。ただ、テクニカルな点として、Millerさんのトークに限らず、LFPで集団活動をある意味ごまかすのはあまり良くないかもな、と今回フラストレーションを覚えた。

State-dependent cortical processing: Cholinergic modulation of visual responses, M Goard, Y Dan
脳状態と視覚情報処理の話で、ネタ的にうちとかなりかぶっておった。。。やはり解析は、ごちゃごちゃワケのわからんことをして自分の頭を混乱させるより、自分の頭に合ったストレートフォワードな方がわかりやすくて良いよな、と痛感。。。(論文になるまでの「工程」を考慮にいれても。。。)

Selevtive in vivo activation of fast- or regular-spiking barrel cortex neurons with channelrhodopsin, J. Cardin, et al.
論文は最終フェーズとのこと。Mooreさん自ら説明してくれたけど、はじめにラボのヴィジョンを話した後にポスターの内容を説明してくれ、感銘を受けた。Moore研はコンスタントに良い論文を出し、テクニカルにも新しいことを次々に取り入れていて、非常に良いラボ。

Bayesian reconstruction of perceptual experiences from human brain activity, J. Gallant, et al.
現在、「ハイブリッドモデル」で視覚イメージの再構築(reconstruction)を試みている模様。単なる復号化というセクシーなところだけでなく、脳の情報処理について学べるデータも出してくれるところは、さすが、と思った。ただ、質疑応答でもあったけど、「再構築」と言われると、何となく違和感を覚えてしまう。あと、ベイズって、ホントに脳で行われていることなのだろうか。もしそうなら、現象を超えたメカニズム的な部分が気になるところではある。それはともかく、ジョークもうけていて、今回の招待講演者の中で最も印象に残ったトークの一つだった。

Synaptic mechanisms of whisker sensory perception, C Petersen, et al.
暴力的なデータのオンパレードでかなりdepress。。。最後に話した未公表データ、部分的にかぶってたし。。。やはり、良い理論ができるまでは、実験家が目指すべき方向は彼のような方向だな、と再認識。理論にしろ実験にしろ、中途半端が一番ダメ。トークもすばらしく良くまとまっていて、ベストトークの一つだった。

---
ちなみに僕はポスター発表

いろんな人に来ていただき、いくつか良いフィードバックをいただきました。
それにしても英語をもう少し何とかせんといかんなぁと、いつものように痛感。勢いで出てくる英語が、後で考えるとワケのわからない文章(文法)だったりしたケースが多々あった。我慢して聞いてもらっている感じなので、いい加減改善させないとこの業界で生きていけない。。。

---
ちなみに今回、なぜかフェローシップをもらえた(ラッキー!)。旅費サポートとして500ドル。

アメリカのフェローシップというと、何ページもアプリケーションを書いて、、、と大変なイメージがあるけど、今回のフェローシップは、演題登録時にレターを1ページ、オーガナイザーのCarandiniさんへ送っただけ。CVも推薦書も必要なし。

もしラボから複数の人が参加して、自分が発表するなら、応募資格を満たせる。今回、僕はポスターでもオーラルでもどちらもOK、として演題登録した。結果、オーラルにもスポットライトにも選ばれなかったから、必ずしも演題の質の高さは関係ない気がした(もちろん、自分の研究にはプライドを持ってます!、とは言いますが。。。)。

むしろ、申請したモン勝ち的な印象を受けた。(といっても、来年は知らんから、無責任なことは書けんが。。。)

それから、出したレターも、ボスやネイティブスピーカーに添削してもらわなかったから、日本人でも取りやすいフェローシップな気がした。ちなみに、そのレターでは、資金不足の切実さ、自分の研究をミーティングで発表する重要性を「かなり」強くアピールした。できるだけエモーショナルな部分を重視した。。。

とにもかくにも、Cosyneは、こじんまりとしつつも、システム寄りの質の高い話を聞け、友達を作りやすいミーティングでした。でかすぎるミーティングは、、、と思っている人にはぴったりなミーティングの一つな気がします。

No comments: