火曜日の夜、Musical Mindsというテレビ番組がPBSというチャンネルで放映された。
オリバーサックスが少し前に出版したMusicophiliaをモチーフにした番組。生きていく上で、音楽と脳がとても特別な関係になっている4人のエピソードを紹介する内容。
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一人目は、盲目でサバンの青年。ピアノの演奏に天才的な才能を発揮している。
二人目は、トゥレットシンドローム(Tourette syndrome)に苦しむ青年。不随意的におこる運動のおかげで、コミュニケーションも途切れ途切れになるけど、その人はドラムを演奏しだすとその不随意運動を抑えられる。
三人目は、いわゆるアミュージア(amusia)で音楽の知覚に障害のある女性。
そして四人目は、落雷によって音楽の才能が突然目覚めた中年男性。
各エピソードの途中、オリバーサックス自身のエピソードを交えたインタビューや、彼が音楽を聴いた時の脳活動(fMRI画像)の話なども盛り込まれた1時間の番組だった。
(*オリバーサックスがベートーベンとバッハを聴いている時の脳活動の話もあって、それはちょっと胡散臭かったけど。。。)
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紹介された4人のエピソード、どれも興味深かった。
観た後の感想・疑問を少し:
まず一人目のエピソードでは、視覚野が他の感覚刺激でも強く応答するようになる、という説明はよくある説明としては良いとして、驚異的なワーキングメモリーやジャズ演奏に必要なアドリブ力との関係はもう一つスッキリしない。そもそもどう音楽やピアノの鍵盤を感じているのか、その本人以外誰も知りようがないようにも思えた。
二人目のエピソードは、正常な運動制御を考える上で、非常に重要な洞察を提供しているようにも思えた。途中出たAwakenings(レナードの朝)のエピソードとも少し関連付けるような番組構成だったと記憶しているが、非常に興味深かった。
三人目のエピソードは、やはりメカニズムというか、何が機能しないと音楽の知覚ができないのか(普通の会話は正常なのに)、音楽という入力をどう処理しているのか、素朴な疑問として抱いた。FOXP2みたいな遺伝子がアミュージアの原因の一部を説明したりするのだろうか?
四人目のエピソードは、オリバーサックスも言っていたように、わけがわからん。。。
落雷によって脳がしばらく異常なくらい過活動か何かおこって、新しい回路がたくさんできて(もしくはなくなって)、文字通り眠っていた「脳力」が明示的になったのか。それとも。。。
最近注目を浴びている脳刺激で可塑性を起こすような話ともリンクするような気もした。
とにかく、オリバーサックスのMusicophiliaを買いたいと思わせるには十分すぎるくらい興味深い番組でした。
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関連情報
ニューヨークタイムズでの番組プレビュー
The Frontal Cortexでのプレビュー記事
7/01/2009
ミュージカル・マインド
posted by Shuzo time 18:25
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