10/18/2008

GYさんのクオリア

ブラインドサイトのGYさんのクオリアを調べた(尋ねた)Persaudたちの論文がConsciousness and Cognitionに掲載されていた。

クオリアの定義(以下の参考情報参照)をGYさんに知ってもらって、クオリアを感じるか尋ねたところ、(障害を負っている視野では)感じないとGYさんは答えたそうだ。

研究のポイントは、研究者たちがGYさんのクオリアについてああでもないこうでもないと議論するのではなく、GYさん自身にその定義を知ってもらった上で、クオリア体験の主観的レポートをしてもらったことか。

ちなみに、Resultsの大部分が、PersaudとGYさんの会話から構成されている。実験条件下でのクオリアについて尋ねたやり取りが興味深い。

一旦、あるのかないのか、曖昧な回答をしたにもかかわらず、最終的には否定的な答えをしている。
その最初の回答がなんだったのか、非常に気になる。


参考情報
Conscious Cogn. 2008 Sep;17(3):1046-9. Epub 2007 Dec 11.
Direct assessment of qualia in a blindsight participant.
Persaud N, Lau H.

今回の研究で、クオリアの定義としてGYさんに読んでもらった4つの文献・情報源
1.The Oxford Companion to the Mind

2.The Standord Encyclopedia of Philosophy

3.
Philosophical Quarterly. 1982 32:127–136.
Epiphenomenal qualia.
F. Jackson
PDF本の章

4.
Consciousness explained. 1991
D. Dennett
wikipediaでの紹介

ついでとしてwikipediaのエントリーも。

*実はこのエントリー、先週原稿だけ用意してボツにしたんですが、pooneilさんこと吉田さんたちの研究が新着のJournal of Neuroscienceに発表されたということで、それにあわせてアップすることにしました。(pooneilさん、おめでとうございます!)

その研究の詳細は生理学研究所のサイトで非常にわかりやすくまとめられています

2 comments:

Anonymous said...

どうもありがとうございます。
ちなみにNavindra Persaudは"Post-decision wagering"の論文のファーストオーサーで、Hakwan Lauはmaskingによるrelative blindsightの論文のファーストオーサーです。

Shuzo said...

pooneilさん、ありがとうございます。

今回紹介した論文の中で、Post-decision wageringの論文も引用されてまして、それでPersaudさんを覚えることができました。「あぁ、この著者、この論文の著者だったんだ」という感じで。
Lauさんのことは、お恥ずかしい話、知りませんでした。。。(修行が足りません。。。)

それはともかく、ちょうどpooneilさんの論文が出て、タイムリーでしたので今回便乗させていただきました。
電気生理のお話はさらに良いお仕事だと理解しておりますから、続報も非常に楽しみにしております。
私もpooneilさんのように、独創性とインパクトのあるしっかりした仕事を目指したいと思います。