6/21/2008

スポーツとクセと

ユーロ2008が盛り上がっている。ロシア、勝負強かった。

一方、本大会に出場できなかったイギリスでは、ウィンブルドン・テニスが始まったようだ。

そのテニスに関連して、ニューヨークタイムズのスポーツ欄に、トッププレーヤーのクセに関する記事が載っていて面白い。

Djokovicがサーブを打つ前にボールを何度もつくクセをはじめとして、いろんなプレーヤーのクセ、「儀式」が紹介されている。

と良い具合に、クセと脳の関係を、大脳基底核を中心にまとめた総説が出ている。最近までの研究をまとめつつ、文化・社会的な儀式にまで話を膨らませていてスケールが大きい。著者のGraybielさんのトークではよく、とあるメジャーリーガーのクセを映像として紹介していたのを覚えている。ここでもプロスポーツでのクセである。

この総説はまだ導入部分までしか読んでいないけど、さすがに含蓄のある表現満載で、いわゆる手続き学習という文脈を超えて、幅広い人に読まれるような感じがする。

さて、テニスプレーヤーのクセ。

おそらく無意識的なプロセス(クセ)と精神統一という意識的な部分の極みともいえるプロセスが同時進行的に進んでいるような気もする。脳の中では、この二つのプロセスはどのように絡むのだろう?神経科学の言葉で、どのように説明したら良いか?

この両者の相互作用を神経科学の対象としてどう扱うか、そういう視点からこの総説を読んでみるのも面白いかも。

Annu Rev Neurosci. 2008;31:359-87.
Habits, rituals, and the evaluative brain.
Graybiel AM.

Graybiel研のウェブサイト

4 comments:

Anonymous said...

Shuzoさん

Djokovic負けちゃいましたね。
Djokovicとクセといえば、昨年のUS Openだったかで、試合後にNadalのまねをして観客にうけていた事を思い出します。意外にひょうきんな人のようで、NadalやSharapovaの形態模写の様子がYou Tubeにたくさんあがっていますね。

一流のスポーツ選手たちは、相手プレーヤーのクセに伴う動作の微妙な変化から、集中力やその他の多くの情報を直感的に把握しているのかもしれませんね。

Anonymous said...

一応実業団スポーツでテニスやってますので、一言だけ・・・。

Djokovicに限らず、テニスではサーブの前のボール突きとかリターンの前のラケット回しみたいな動作のことをritualと呼ぶらしいですね。野球でも、例えばIchiroのあの右手の袖を手繰り寄せる動作もそう呼ばれるようです。

僕も実はritualがあって、往年のSamprasの動作を真似してます(サーブのセットポジションを取る前に1回「だけ」ボールを突く)。でも、これがないと不思議とリズムが取れないんですよ。逆に、自然とritualに入れると集中力が一気に高まっていくのがわかりますね。特に40-0とかでテンポ良くポイントが取れてる時なんかは、そのままritualもスムーズに入れるし、実際その後のポイントもイメージ通りに取れる、という気がします。

神経科学的に色々なことが言えるのだろうと思うのですが、個人的には「無意識」というよりは「学習の延長線上」にある動作ではないかと思っています。結局、プロでもアマでもサーブの前に行っているritualっていうのは、試合に臨む遥か以前から(うっかりするとジュニアの頃から)練習の時に行っている動作なんですよね。ですから、その動作を欠かさず行うことで学習済みの行動を寸分違わず実行することができる、そういうことなんじゃないでしょうか。

その意味で基底核とも言えそうですし、むしろ小脳とも言えるような気がします。でも、これをfMRIで研究するのはちょっと難しそうですね。NIRSとかの出番になるかも・・・。

Shuzo said...

mm3さん、こんにちは。

Djokovic(発音が難しい)残念でした。

私も、彼がボールをたくさんついているムービーがないかYouTubeで探して、いろんなプレーヤーを真似してる映像を見つけた口です(苦笑)

ウィンブルドンでは、ボールのつく回数が少なかったのか、それともボールをつきながら、自分をネタにされた新聞記事を思い出してしまって集中できなかったのでしょうか。。。

スランプに陥ったりして。。。

Shuzo said...

vikingさん、こんにちは。

なるほど、「学習の延長線上」ということはまさに基底核も絡みそうですかね。

ふと、基底核や小脳と集中力との関係はどうなのか、と気になったしだいです。(素人丸出し)

ついでに、Raichleのdefault networkとの関係も気になったりもします。確か、putamenと小脳の一部は新皮質のdefault networkと、correlateしてた気もします。どうでしたか。