11/22/2008

学会会場での人間行動を科学する

前回のエントリーの関連ネタとして、アホエントリーを。

今回、バカでかい学会会場を歩き回っていて、ふと、
Aさんとどれくらいの確率でめぐり合えるのだろうか?
と思った。

今回のエントリーでは、ある意味どうでも良いそんな問題を、ちょっと考えて見ます。(なぜなら、楽しいから。)

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まず直感

直感的には、会場を2次元的にとらえて、AさんとBさんを2つの粒子か何かと考え、その行動モデルを何か仮定して、その2粒子の衝突確率か何か計算すれば良いのだろうか?(散々やられている気もするな。。。)

AさんとBさんのめぐり合う確率ではなく、どういう会場のデザインが効率的な会場か?、とより有益な問題を考えても良い、というかその方が面白い(し、研究費を取ってこれそうでもある?)

なので、問題を、効率的な学会会場デザインとは?とすり替えてみる。

シミュレーションをする時、もし上の直感で良いとするなら、
1.会場のデザイン
2.行動モデル
3.ヒトの密度
が重要な要素になるのか?

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行動モデルとヒトの密度

行動モデルに関しては、移動距離と滞在時間というパラメーターが重要か?

移動距離に関しては、おそらくLevy flight的な仮定は直感的に正しい気がする。
というのは、例えばポスター会場では、一つのテーマの場所で、ポスターを一つ一つ見ていくこともあれば、ポスター会場から大きなホールまで長距離移動することもある。

けど、その長距離移動は1日数えられるくらいしかしない。
一方、ポスターを一つ一つ見るための移動頻度は非常に多い。

少なくとも正規分布ではない気はする。

滞在時間はどうか?

移動距離と何か関係があるような気もしないでもない。
一つのポスターの前に1時間居座ることはまずない。数秒見ては次のポスター、長くても10分くらいか。一方、シンポジウム、レクチャーは1時間単位でいる(楽だし。。。)

ついでに、粒子密度も考えて、粒子同士の衝突など、粒子の行動がスタックすることも考えられるとなおリアリスティックで良い(ここが一番やっかいか)。実際、大ホールでのレクチャー前後ではその粒子同士の衝突が顕著となり、行動が規制される。

人種や男女比なども考えて、粒子サイズを考えても良いけど、それはやりすぎだな。

3万人分のシミュレーションが実際どれくらい大変なのか、よくわからないけど、それくらいでやりたいところ。

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会場デザイン

デザインとして、二つ考えられそう。
第一に、箱はそのままで、演題の配置をいろいろ考える。
第二に、箱そのもののデザインをいろいろ考える。

前者は特にポスター会場内のポスターや企業ブースの配置などをいろいろ考えることがすぐに思いつくか。

後者は、今回のワシントンDCのコンベンションセンターと昨年のサンディエゴのそれを比較すれば良い。(リアルに忠実するのは難しいのかもしれないけど)

これは考えようによっては建築家とコラボすると面白い気がする。というのは、デザインと利便性のトレードオフを、科学的に扱えるかもしれないから。(ホントに扱えるのか、実際の現場ではもっともっと深いことが考えられている気もするが。。。)

例えば、大ホールの出入り口、その周辺のデザインなどをどうすれば、混雑を回避できるか、そういった問題を考えるとか。

それから今回、スタバに長蛇の列ができていたけど、その辺の効率性を上げるのにも役立てられないか。(効率的なお金儲けにもつながるやもしれんし)

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シミュレーションの評価

では、何をもって良い学会会場デザインとするか?

もしも一人だけで会場を自由に動き回れて、聴きたい演題をすべて回れる。(ポスターの順番待ちは一切なし)

これが一つの最適解な気がするから、シミュレーションした全てのヒトの平均なり統計量が、その最適解に近ければ良い、ということになるか。

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実験

やはり、シミュレーションだけでは面白くない。
実際の人の行動をトラックしてデータ収集したい。

どうするか?
GPSの詳しいことはよく知らないけど、GPSでは解像度は足りないか?(人は3次元的に動きまわるし)

参加者でiPhoneなどのスマートフォンを持っている人は多そうだから、何かそういうデバイスを利用できると良さそうだけど、お金がかかりそうな気もする。。。

けど、もしそういう携帯デバイスを使って、1メートル以下、数秒単位で位置を把握できるとすれば(一気に飛躍するけど)、事前に参加者を募って、行動をトラックさせてもらっても良い。そんな実験をするなら、ぜひとも参加してみたい。

そんなハイテクを使わなくても、万歩計に毛が生えたデバイスを用意しても良い。各歩行のタイムスタンプも記録できるデバイスを、参加者の一部にしてもらえば、行動モデルを考えるための最低限のデータは収集できるかも。(けど、空間情報もないと、かゆいところに手が届く実験データにはならない気も。。。)

そうやって、シミュレーション結果と実際の行動との折り合いをつけながら、どんな学会会場のデザインが良いか、科学的な根拠を持って考えていける気もする。

実際には難しい問題がたくさんありそうで、素人過ぎるか?
よくわからん。
けど、楽しそう。

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何の役に立つか?

参加者の役に立つ。
ひいては科学の発展に貢献する。
なぜなら、参加者の情報収集の効率を上げられる提案をできそうだから。
さらには、経済効果、医療の発展も期待できる(かも?)

想像力をもっと豊かにすれば、例えば、こういう研究をさらに発展させ、マンハッタンでのヒトの行動などに拡大して、ボトムアップ的に都市のデザインを考えられないか?

この地区にスタバをx軒作るのは明らかに無駄、とか、そういうことも定量的に示せそう。生態学、社会学、そして経済学が融合したりしそうな気もする。

その意味では発展性もある気がする。

と、そんなアホなことを学会中考えてました。。。

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参考になるかもしれない情報

Nature. 2008 Jun 5;453(7196):714-6.
Ecological modelling: the mathematical mirror to animal nature.
Buchanan M.
内容はしっかり覚えていないけど、Levy flightの研究史的なことが非常にわかりやすくまとめてあった。

Nature. 2008 Jun 5;453(7196):779-82.
Understanding individual human mobility patterns.
González MC, Hidalgo CA, Barabási AL.
携帯電話ユーザーの情報を解析して、ヒトの行動パターンがLevy flight的だということを実証した研究だったように記憶している。

2 comments:

Anonymous said...

Shuzoさん

どっかで似たような話を見たことがあるなと思って探し回ってやっと見つけました。
http://satoshi.blogs.com/life/2005/10/post_6.html
学会場は、ディズニーランドとは違って立体的に人の動きを把握する必要があるので、GPSでは足りないかもしれませんね。学会証にRFIDを仕込んでおいて、会場のあちこちにセンサーを仕込んでおけば、ある程度の人の動きをリアルタイムで把握することは可能かもしれません。RFIDのシグナルが届く距離とセンサーの数で空間分解能の調節が可能となるのではないでしょうか?

あと、こういったサービスが可能として、提供された場合と提供されていない場合で、人の動きが変わってくる可能性もあると思いますので、その辺も面白いかもしれませんね。

Shuzo said...

mm3さん、ありがとうございます!

なるほど、RFIDですね。
RFID付きネームプレートを用意しておけば良いわけですね。(私RFIDのこと全然知りませんけど、どれくらいお値段がかかるんでしょ。)

研究者にこういう遊び好きな人多そうだから、実現可能なプロジェクトとして立ち上がれば、たくさん協力者が得られて、データを集めること自体は簡単かもしれないですね。
ぜひやって欲しいな~。