11/01/2008

Tufted Baldness

アホネタ。

今年のノーベル化学賞のテーマは光るタンパク質だった。
研究現場では、頭がピカピカ光っている(seriously。。。)

では逆に、頭を光らせない研究も大事ではないか?
特に男性には。。。

アンチメタボならぬ、アンチボールド、アンチ脱毛、アンチ・・・

新着のNature Geneticsにそんな最前線の研究が二つ報告されていた。こちらこちら

脱毛症男性のゲノムを、ゲノムワイドで調べていったら、X染色体ではなく、20番染色体の20p11という領域にいきついたらしい。面白い。

毛根といったら良いのかhair follicleの細胞生物学と今回の二つの論文を簡潔に説明したNews and Viewsによると、すでにいくつか候補遺伝子が見つかっているようだ。

なかなか有望である。
(が、僕を含め、このブログを見ている男性陣に間に合うだろうか。。。)

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ところで、素朴な疑問として、脳と脱毛症は関係があるか?

ホントかどうか知らないけど、ストレスによってハゲるとは、よく言う。
もしホントなら脳も一役かってないか?

環境要因による脱毛の問題を(万が一まじめに)考えるなら、まずは内と外の環境要因を分けて考える必要があるか。

「外」は、直接頭皮に作用するケミカルという環境要因。

「内」はさらに少なくとも二つに分ける必要があるかも。
第一に、食事などで外部から体内に取り込んだもの。
第二に、脳が環境情報を処理した結果生じるもの。例えば、ホルモン。そういうホルモンが、頭皮の何らかの遺伝子発現などに作用して、脱毛を引き起こす、というアイデア。

wikipediaを見てみると、脱毛という事実そのものが心理(脳活動)に影響を及ぼす逆の流れのことが書いてあるから、ポジティブフィードバックもあるような気もしないでもない。。。

システムレベルの話になるだけに、なかなか奥が深い。
wikipediaのこちらでは、高カロリーな食事とも関係があるとか。
そうなると、ホントにメタボとリンクしたりといろんな可能性も考えられないか。

ちょっとpubMedでも調べてみたら面白そうな総説があった。

脳と皮膚障害との関係についてまとめている雰囲気。
この総説で扱われている候補分子は脳と皮膚をつなぐインターフェースだから、brain-skin interfaces、BSIだな。。。

なんだか収拾がつかなくなってきたので、この辺で。。。

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参考文献

Nat Genet. 2008 Nov;40(11):1270-1.
Combing the genome for the root cause of baldness.
McLean WH.

Nat Genet. 2008 Nov;40(11):1279-81. Epub 2008 Oct 12.
Susceptibility variants for male-pattern baldness on chromosome 20p11.
Hillmer AM, Brockschmidt FF, Hanneken S, Eigelshoven S, Steffens M, Flaquer A, Herms S, Becker T, Kortüm AK, Nyholt DR, Zhao ZZ, Montgomery GW, Martin NG, Mühleisen TW, Alblas MA, Moebus S, Jöckel KH, Bröcker-Preuss M, Erbel R, Reinartz R, Betz RC, Cichon S, Propping P, Baur MP, Wienker TF, Kruse R, Nöthen MM.

Nat Genet. 2008 Nov;40(11):1282-4. Epub 2008 Oct 12.
Male-pattern baldness susceptibility locus at 20p11.
Richards JB, Yuan X, Geller F, Waterworth D, Bataille V, Glass D, Song K, Waeber G, Vollenweider P, Aben KK, Kiemeney LA, Walters B, Soranzo N, Thorsteinsdottir U, Kong A, Rafnar T, Deloukas P, Sulem P, Stefansson H, Stefansson K, Spector TD, Mooser V.

4 comments:

kuni said...

脱毛にウコンは効かないでしょうか?

毛の毛細血管に一酸化窒素に影響しそうで、アセトアルデヒド脱水素酵素に働きそうで、男性機能が回復したという人もある一酸化窒素の産生を正常化しそうなウコンがそれを改善しないかと。

また、その一酸化窒素の産生に関係する酵素と補酵素などが、メタボで糖の代謝が変わるとつよう影響を受け、それが脳を含めいろいろな影響を与えそうにおもうのですが。

http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/425137.html
遺伝的に酒に弱い人はニトロ舌下錠が効かない?! 一酸化窒素放出にアセトアルデヒド脱水素酵素が関与

アリス said...

ストレスでコレステロールだって上がるくらいですもんね。病気も含めて心の影響(ということは脳の反応?)が実はかなり大きいのかも。人によってストレスの受け止め方が違う(性格とも言いますか?)と言うのが何に起因するのかとっても興味深いです。

Shuzo said...

kuniさん

なるほど、ウコンとその主成分クルクミンが、確かに炎症を抑える、というマウスでの研究を、コロンビア大の人たちがごく最近発表しているようですね。
http://newswise.com/articles/view/541969/
(まだ学会レベルの発表だけで、科学専門誌で報告されたわけではないようですので、信憑性についての判断は私にはしかねます。それから、あくまでマウスでの研究なので、ヒトでもそうかは断定的なことは何も言えそうにないです。)

「脱毛症と炎症との関係」というのが私は全く無知ですが、メタボと炎症は大いに関係していると理解しています。

もしもメタボと脱毛症との間、あるいは炎症と脱毛症との間に何かリンクがあれば、kuniさんの「ウコンは?」というご指摘、本当のような気もしないでもないです。

専門家でない私が、これ以上ゴチャゴチャ書くと、事情がさらにゴチャゴチャしそうなので、これくらいでやめておきます。。。

コメントありがとうございました。
(「科学者」という肩書きを振りかざしてブログをやっている以上、こういう理屈っぽい書き方をせざるをえないですが、ウコンと脱毛症との関係は正直面白い研究になる気がしました。)

Shuzo said...

アリスさん

> 人によってストレスの受け止め方が違う(性格とも言いますか?)と言うのが何に起因するのかとっても興味深いです。

私は詳しくないですが、遺伝子と脳活動との関係を調べている研究はいくつかあります。

例えば、昨年Cellという雑誌に、マウスを使った非常に面白い論文が報告されてます。
http://www.cell.com/abstract/S0092-8674(07)01206-8

まず、ストレスに強いマウスと、そうでないマウスをまず分けます。
そして、それらのマウスの脳内での遺伝子の働きを比べます。

すると、脳の「報酬系回路」でBDNFという遺伝子の働き方に違いがあって、それがさらにその回路の電気活動にも影響を及ぼしていそう、という超面白い発見をしています。

そのBDNFの働きの違いを生み出した原因が何か私は理解していませんが、環境と遺伝子がお互い影響しあいながら個性というものがどんどん形成されていくのかもしれませんね。