11/24/2007

慈善のない国 日本

「お金持ちは日本では尊敬されない。だから彼らはお金を隠す」

「政府は非営利団体を信用していない」

「患者と研究者との結びつきがない」


最近読んだ記事A Country without Alms「施しのない国」からの引用である。日本の悲しい現実が克明に紹介されている。

この記事では、研究と慈善事業の関係、文化・価値観の日米格差を痛烈に紹介している。単に日本人研究者ではなく、日本人全体から日本のシステムそのものの抱えている問題点を批判している。

この記事に書かれていることはこうだ。

プライベートな非営利団体が研究推進のためにお金を研究者へ提供する、いわゆる研究助成を行うことが、日本では如何に難しいか、アメリカと対比して書かれている。その非営利団体の代表例として、脊髄損傷者のQOL向上を掲げる「日本せきずい基金」のことが紹介されている。ポイントは、日本では脊髄損傷治療に結びつく研究の充実を図る研究助成が難しい、ということである。

その背景としていくつもの問題点を指摘している。
慈善活動・チャリティーに対する考え・価値観がアメリカほど根付いていないこと、政府支援の希薄さ、経済情勢の問題(低金利政策)、お金の使い道の透明度に対する意識・感度の高さ、研究者と患者との連携の少なさ、など。

結果として、多くの非営利財団の資金は、病気等の根絶に結びつく研究助成というより、その運営と病気等の社会的認知度を上げることだけで手一杯という状況にあるのだろう。

慈善活動をしないことの例として、ビルゲイツ氏と孫氏の対比が紹介されている。
両者は、アメリカと日本を代表するお金持ち。前者は巨額の私財を投じて慈善的な財団を設立し、後者は地震などの災害時にチャリティーをする以外何も慈善活動的なことをしていない、と記事にはある。

この記事の写真が象徴的。
その写真で、ビルゲイツの表情は決して良いとは言いがたい。が、きれいな女性の横で満面の笑みを浮かべている日本の金持ちより、ビルゲイツの方が随分良い人間に見えるのは自分だけではないだろう。

この記事の冒頭から大濱眞氏が一貫して登場する。
この方は、32歳の時、ラグビーのプレー中に脊椎を損傷。現在、上述の
NPO法人・日本せきずい基金の理事長を務められている。この方の目標は、第一に、再び自分の手で食事ができるようになること。そして、第二に、脊椎損傷治療に結びつく研究を支援し、自分は例え無理でも、他の脊椎損傷者がいつか第一の目標を達成できるようにすること、とある。

けども、日本では、その控えめとも言える二つ目の目標へ向かうことすら難しい、としてこの記事がスタートする。そして、この記事の締めくくりには、日本ではシンボルとできる有名人がおらず、結果的に、アメリカからスーパーマン・クリストファーリーブをシンボルに立てざるを得なかった現実が紹介されている。

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では、どうすれば大濱氏の目標、特に第二の目標、を達成できるか?

もちろん、この記事で批判されている問題を少しずつ取り除いていくしかない。
ボトムアップ的な宣伝活動、トップダウンとして税制度の大幅な改変など。やはり有名人の中からこういう慈善活動の重要性をブロードキャストするような人が現れることほど効果的なことはない気がする。例えば、テレビに登場する人が大々的に宣伝してブーム的な活動を起こすのは、簡単な気もする。

もちろん、文化的な部分もあるから問題は根強そうで、本当にそういう活動を根付かせるのには時間はかかるのだろう。けど、変えた方が良いと思った人みんなが何でも良いから何かアウトプットするだけでも、随分違う気がした。

なので、自分ができることとして、こんなエントリーを立ててみた。


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