8/09/2008

睡眠不足、肥満、メタボ、そしてガン

寝ないと、太って、メタボになって、ガンになる。

そのロジックが少し前のNatue Medicineの記事にあって勉強になった。ある意味、恐ろしい記事でもある。

(*この分野は専門ではないので危険ですが、以下、その記事に基づいて書いてみます。)

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睡眠不足と肥満

睡眠不足と肥満が関係している。
と言われると、
肥満→イビキ→呼吸困難→睡眠不足
という因果関係は容易に想像がつくから良い。

が、この記事によると、
短い睡眠時間→肥満
という因果関係もあるかもしれない。

睡眠時間が短いと、胃などで作られる食欲ホルモン、「グレリンghrelin)」と「レプチンleptin)」のバランスが変わる(グレリンが増え、レプチンが減る)。

1000人以上を対象にした調査でもわかっているらしい。

つまり、
短い睡眠時間→食欲ホルモンのバランス変化→肥満
というロジック。

では、食欲ホルモンのバランスが変化したら、どう肥満と結びつくか?

記事では、非常に面白く、かつ説得力のある説が紹介されている。

グレリンの上昇とレプチンの減少は、脳内のオレキシンorexin)の量を増やし、脳を覚醒させ、同時に空腹感を引き起こす
というアイデア。

二つの食欲ホルモンは、脳の視床下部に働いて、オレキシンという脳内ホルモンの量を調整しているらしい。オレキシンは10年前に発見された脳内ホルモンで、食欲を制御する一因で、脳を覚醒状態に保つのに必要なタンパク質(こちらの文献も)。

先に挙げた食欲ホルモン、グレリンはオレキシンの生産量を上げ、レプチンはオレキシンの生産をブロックする。(もちろん、オレキシンの量は、この二つの食欲ホルモンだけで決まっているわけではないのだろうけども)

つまり、
短い睡眠時間→グレリン上昇&レプチン減少→脳内オレキシン上昇→脳の覚醒化、食欲促進→肥満
というロジックになりそうである。

逆説的だけど、短い睡眠時間が、結果的(病的?)に脳の覚醒化を引き起こすのかもしれない。同時に、無駄な摂食を促すことになる。悪循環に陥ることになる。

では、睡眠時間が短いと、何が引き金で、食欲ホルモンのバランスを変えるか?

交感神経系(sympathetic nervous system)の活性化、という説があるようだ。

交感神経系は、ウィキペディアにもあるように「flight or fight反応」と深い関係がある。その反応は、ストレスがかかっている時に起こる反応といったら良いだろうか、例えば、俗に言う「アドレナリンが出ている」という状態に近いかもしれない。交感神経系がより働くと、瞳孔が開いたり、血流が上昇する方向に働いたり、副腎からのホルモンや伝達物質の放出量が増えたりする。

その交感神経系活性化の一つの結果として、レプチンの量が下がる、という仮説があるそうだ。

まだわかっていないことも多そうだけど、一つの仮説としてまとめてみると、
短い睡眠時間→交感神経系の活性化?→グレリン上昇&レプチン減少→オレキシン上昇→脳の覚醒化、食欲促進→肥満
というロジック。

とにかく、寝ないと太る。

さらに記事によると、睡眠時間を実験的に操作して、実際に体重が増えるか調査するプロジェクトが進行中らしい。

短い睡眠時間→肥満
という因果関係をシンプルに確かめる研究として興味深い。

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少し個人的な意見を。

結局のところ、肥満防止には、適度な運動と睡眠、という当たり前なことが最も大事なのかもしれない。(それが難しくなっているのが現代の問題といえば、それまで。。。この問題は、科学や医療だけの問題でなく、政治や経済、社会レベルの問題として対策しないとどうしようもない。おそらく、地球温暖化問題のように、出来上がったシステムを止める、変えるほうにコストがかかる、といったナンセンスとも思える論争を巻き起こす人がでてくるのだろう。睡眠不足の問題は「人間環境問題」だな。ということは、地球環境問題をアナロジーとして、社会を変える方向を探るのは重要かもしれない。人間環境問題は、ヒトだけの問題な気もするけど、ヒトの無駄な食欲増進によって、さらなる地球環境問題の一因にならないか、と勝手に心配。)

それから、睡眠不足を感じている脳がどう働いてストレス反応としての交感神経系の活性化を促すのか、その点については、この記事では触れられてなかったように思う。ひょっとしたら、その時点でオレキシンが絡んでいるとすると、上のロジックは複雑になりそうだ。

ちなみに、徹夜した時に「ハイ」な気分になるのは、過度の睡眠不足の結果、脳内オレキシン量が増えてきたことと関係があるのだろうか?(素朴な疑問)

薬として、オレキシンや食欲ホルモンの量をコントロールしよう、という安易な発想はおそらくNGだろう。もしそんな薬があったとして、一時的に服用するならともかく、生活習慣として寝不足な人が服用し続けると、その薬の副作用として、睡眠薬として働いて生産性を下げたり、事故を引き起こしたり、拒食的な状態を生み出すリスクがありそう。とすると、やはり根源の睡眠時間をその人なりの正常な時間にセットするしかない気がする。どうだろう?人生の三分の一を有意義に過ごそう、という発想が出てこないとダメだな。。。

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睡眠とメタボ?

メタボの代表は糖尿病。

この記事では、睡眠不足が糖尿病をひょっとしたら引き起こすかもしれない、という研究が少しだけ紹介してあった。(だから、どれくらいコンセンサスが得られているか、自分には不明)

記事によると、ボランティアに睡眠不足状態になってもらったところ、インスリンが働きにくくなり、インスリンの量も増えなかったそうだ(つまり代謝力低下の悪循環への第一歩?)。

ちなみに、ここで引用されている論文では、寝不足によって交感神経系の働きも亢進したとあった。寝不足が交感神経系を活発にする根拠の一つにもなりそう。

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睡眠とガン

寝不足→ガン
というのは、にわかには信じがたい。が、それなりの説得力をもって記事が書かれている。

この記事では、Richard Stevensという人の説を中心に説明されている。

話の発端は、1980年代、乳癌の発生率が増えたこと。その原因としてまず、ダイエットが疑われたらしい。しかし、そのStevensという人はダイエットとの関係に疑問を抱き、別の説として、夜の明るい照明との関係に目をつけたそうだ。

この記事によると、夜勤の人と乳癌の発生率に関係があるとする疫学調査がいくつかあるそうだ(例えばこちら)。

その鍵を握る物質として考えられているのが、脳の松果体で作られるメラトニンmelatonin)。メラトニンは、いわゆるサーカディアンリズム(circadian rhythm)と同調して、通常夜間に作られる。

記事で紹介されていた文献によると、確かにメラトニンはガンに効く、という報告があって、素人目からすると、コンセンサスが得られつつあるようにも見える。

つまり、誤解をおそれずに書くとすると、
夜間照明・夜勤→サーカディアンリズムの異常→メラトニン減少→ガンのリスク上昇
というロジックか。

乳癌の発生率上昇の一因を、夜間照明・夜勤、メラトニンが担っているとして、なぜ乳癌?という疑問が残る。

が実際、夜勤は他のガン(前立腺がんや大腸がん)のリスクも上げる、という研究もあるらしく、他のガンとも関係することが少しずつわかってきているらしい。

もう一つの疑問は、メラトニンはどう働くか?どうガンを防ぐ方向に働くか?ということ。

記事では、メラトニンは、フリーラジカルを除去してDNAのダメージを防いだり(文献PDF)、エストロゲン(estrogen)という女性ホルモンに働きかけたりするらしい。

さらには、植物オイルに含まれるリノール酸とメラトニンとの関係に注目している研究者もいるようだ。


思ったけど、寝不足中の遺伝子の働きを網羅的に調べて、いろんな疾患との関係を調べる研究がもしかしたら現在進行中なのかも?個人単位でコントロールをとって遺伝子発現を比較できる。(これはお金になります。)

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最後に、この記事にはない情報を。

wikipediaのmelatoninを読んでいて気づいたが、レプチン量を制御しているらしい(!!)。さらにleptinのエントリーをを読むと、メラトニンがインスリンと相互作用して、その結果、レプチンの量を増やす、という論文が紹介されている。


寝不足、肥満、メタボ、ガン
すべてがつながるのも肯ける。

寝ないと、太って、メタボになって、ガンになる(リスクが上がる。。。)

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参考記事
Nat Med. 2008 May;14(5):477-80.
Hungry for sleep.
Willyard C.

update:
少し関連する一般向けの本
Mastering Leptin: The Key to Energetic Vitality, Youthful Hormonal Balance, Optimum Body Weight, and Disease Prevention
アメリカでは割と売れてるみたいです。

3 comments:

Anonymous said...

Shuzoさん、はじめましてクニと申します。
息子が自閉症なので、アマチュアレベルですがこの辺りを追いかけております。

『生存と生殖とエネルギーをバランスさせる基本回路』というのを考えております。
NMDA受容体などからの一酸化窒素が→ヘパラン硫酸の分解→ヘパリン結合性成長因子、アクチビン、Wntなどに影響し、その一酸化窒素の効率などスイッチするのがGSK3βが→PSD95→一酸化窒素という形で、そこにWntなどからのフィードバックが帰ってくる、。

またヘパラン硫酸の分解のところにスーパーオキシドがあると分解される細胞外マトリクスが変わりことも調節に大きく働くのではと。

ここは発生から細胞周期、女性周期、癌や老化などにも関係するのだとおもっております。

Wntから倹約遺伝子の本体と言われるPPARγにも影響する。

この回路と深く相互作用するのがヒスタミンとヒスタミンの前駆物質のヒスチジン、ヒスチジンを代謝するヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)がIL-1などに大きく影響され、『生存と生殖とエネルギーをバランスさせる基本回路』がエネルギー倹約モードになり、また活性酸素の一重項酸素の解毒の方で費消されないとヒスチジンが溜まり、睡眠導入物質で疲労物質のアデノシンが増える。

ヒスチジンの抑制に働くメチオニンがうつや統合失調症に関係するので、このアデノシンの増加とヒスタミンへの代謝がうつや統合失調症に関係するのだろうと。

部分、部分としては成り立っているとおもいますが、どうおもわれますか?
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http://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/119/5/273/_pdf/-char/ja/
心筋障害の調節因子とアデノシン産生
 小畑俊男 大分医科大学薬理学教室

7. 一重項酸素とアデノシン
反応性の非常に高いラジカル種に一重項酸素(1O2)が知られているが,その代表的なスカベンジャーは必須アミノ酸の一種であるヒスチジンである.ヒスチジンはアデノシン産生を増加させる(37).このように虚血障害によって生成される1O2はヒスチジンの枯渇によりアデノシン産生を抑制しているものと考えられる.
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http://www.riumachi.org/korekara/01_10/04.html
第4回「PPARγは破骨細胞の形成を制御する」
Nature Medicine 13, 1496 - 1503 (2007)
PPARγは破骨細胞の形成を制御する
Wan Y, Chong LW, Evans RM (アメリカ / ソーク研究所)
これを「骨リモデリング」と呼びますが、この破骨細胞と骨芽細胞の働きのバランスが崩れてしまうと骨粗鬆症などの疾患が発症してしまいます。閉経後の女性が骨粗鬆症になりやすいというのは、女性ホルモンが閉経によってなくなることにより破骨細胞の働きが活発になってしまうためなのです。

PPARγは私たちのからだの中で脂肪細胞を作る働きや筋肉でのグルコースの取り込みを活発にする働きを持つ分子ですが、最近の研究からPPARγがそれだけではなく、骨芽細胞を作りにくくする働きも持つことがわかってきました。
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http://www.jst.go.jp/pr/info/info435/index.html
骨と脂肪のバランスを制御するメカニズムを解明
(メタボリックシンドロームなどの予防・治療薬開発に道)

具体的には、生体の骨量調節においては脂肪細胞を増やす作用を持つ「PPARγ」注1)(ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γ)が関与し、Wnt5aはそのPPARγの機能制御を介して骨量調節を行っていることが分かりました。
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http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/nature2007_1273-1285.html
Non-canonical Wntシグナルで活性化されるヒストンメチル化酵素はPPARγ機能を抑制する

これらはWnt5aシグナル依存的に核内でPPARγと相互作用し、本来PPARγが作用するべき遺伝子のmRNA合成が抑制される事を見出しました。つまり、骨芽細胞分化促進作用を示すタンパク質Wnt5aは、核内のヒストン修飾を制御する事で、脂肪細胞分化促進タンパク質PPARγの機能を抑える事が分かりました(図)。

本研究において同定したWnt5aやNLK、SETDB1の活性を調節可能な治療薬を開発すれば、肥満の防止や骨強度の増強に大いに役立つ可能性を秘めております。
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Shuzo said...

クニさん、はじめまして。コメントとてもありがとうございます。

アマチュアレベルとおっしゃられていますが、非常に勉強されているようですね。(ブログも少し拝見させていただきました。)

私自身、クニさんが指摘さてている問題の専門ではありませんから、なかなかコメントが難しいですが、一つ重要な点は、個体を構成している細胞は本当に多様だということです。

脳一つとっても、専門家ですら意見がわかれるくらい多様な神経細胞たちがいます。

その多様性はどのように定義されるかというと、最近は遺伝子の働きによって定義できつつあります。

もちろん、すべての細胞は基本的には同じゲノムというハードウェアをもっているのですが、それが転写、翻訳されてできるタンパク質というソフトウェアが、細胞によって異なります。

例えば、細胞AではXという遺伝子が働いているけど、細胞BではXは働いていない、ことがよくあります(細胞分化というのはそういうことですね)

ですので、異なる細胞を研究してわかったことを同じ土俵で結びつけるのは非常に難しいのが現状な気がします。

例えば、間葉系幹細胞でわかった分子レベルの現象が、他の細胞、例えば神経細胞でも起こっているか、というと、違うことの方が多いかもしれません。

それはともかく、「生存と生殖とエネルギーをバランスさせる基本回路」というのは、個人的な考えを申しますと、分子レベルの回路というよりは、脳の神経回路、あるいは、脳以外の臓器も含めたより大きいレベルでの回路を考えたいです。

その意味では、いわゆるinnate behaviorと呼ばれる、教えられることなく生まれつきその能力を発揮できる行動とも深く関係がありそうですね。

そのinnate behaviorに関しては、ショウジョウバエの求愛行動が、遺伝子から神経回路レベルまで非常に詳しいことがわかってきています。

哺乳類については、視床下部の研究がいろいろあるかと思います。が、断片的か、私がしっかりフォローしていないだけか、回路という意味で、しっかりわかっていることはそれほど多くはないように思います。

「このアデノシンの増加とヒスタミンへの代謝がうつや統合失調症に関係するのだろう」ということですが、正直私はわかりません(ごめんなさい)。
統合失調症やうつは複数の遺伝子が複雑に関わることがようやくはっきりわかってきた段階ですので、あるかもしれませんし、ないかもしれません。

風が吹けば桶屋が儲かるではないですが、今回のエントリーにあるように、睡眠不足がガンを引き起こすかもしれないので、クニさんが指摘されていることがある可能性も高いかもしれないですね。

すみません、あまりまともにお答えできず。。。
今後ともよろしくお願いします。

Anonymous said...

専門家の方にコメントをいただける機会は貴重で、有り難くおもっております。

一酸化窒素、中枢神経系や生殖器にも、また満腹中枢の腹内側核が女性の性周期などと関係するなど、その重なりを感じ、一酸化窒素が『生存と生殖とエネルギーをバランスさせる基本回路』の主役であり、満腹中枢に働くヒスタミンもまた重要な働きがあるとおもっています。

躁うつ病の薬でそのスイッチであるGSK3βを抑制するリチウム(リーマス)が幻聴などにも効果があるのは、『生存と生殖とエネルギーをバランスさせる基本回路』に影響し、ヒスチジンのヒスタミンへの代謝を促進するからではと。

ガンへはヘパリン結合性成長因子のHB-EGFやFGFなどが影響する要因になるのではと。

『風が吹けば桶屋が儲かる』式で、目の前や周りの者達が楽にならないかと。
ありがとうございました。
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http://homepage2.nifty.com/uoh/kiso/z_NO.htm
一酸化窒素(NO)nitric oxide

nNOSの脳内分布
 海馬: NOは海馬の長期増強、すなわち記憶の分子メカニズムの候補である。
 視床下部: 室傍核・小細胞性領域のCRF神経もnNOSを含有し、ストレス反応に関与する.

 中脳: 中脳中心灰白質の背外側部には非常に濃密なNOS含有神経の分布がある。
 内因性痛覚抑制系との関連が示唆される.

 背外側被蓋核/脚橋被蓋核のコリン作動性神経、および、背側縫線核や正中縫線核のセロトニン神経にもNOSの発現がある.
 延髄: 孤束核、迷走神経背側運動核・疑核・舌下神経核・延髄腹外側野の各細胞にNOSの発現があり、循環・呼吸などの自律調節に関わる.
  出典 Clinicl Neuroscience 2002;22(8):860-861
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http://physi1-05.med.toho-u.ac.jp/system_neuro/noradrenalin/n5/n5.html
ノルアドレナリン神経系(5)中脳中心灰白質との関係
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http://phi.med.gunma-u.ac.jp/demography/birth2004s.pdf
人口学講義「出生の分析」
 中澤 港(群馬大学助教授)

1.3 ヒトの生殖の生物学的機構~ミクロな,あるいは医科学的視点

その後の研究から,中脳中心灰白質と視床下部腹内側核との間には密接な神経繊維の連絡があることや,腹内側核がエストロゲンによって引き起こされる発情期特有の生理的変化の中枢であることから,中脳中心灰白質は腹内側核からの刺激を受け取ってロードシスという反射につなげる部位であると想定されている。腹内側核は満腹中枢としても知られ,GnRH レセプター,エストロゲンレセプターのみならずレプチンレセプターも存在し,腹内側核に隣接する弓状核(Arc) にもGnRH レセプターとレプチンレセプターが存在し,弓状核で産生されるニューロペプチドY (NPY) による食欲亢進シグナルがレプチンの結合によって制御されることが注目されている。思春期になって食欲がなくなるのも,これら神経伝達物質と視床下部ニューロン群の作用の結果と考えられるが,この点については次節で詳しく触れる。
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http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2006/060418/detail.html
躁(そう)うつ病(双極性障害)にミトコンドリア機能障害が関連
- 躁うつ病の発症メカニズム解明につながる初めてのモデル動物の可能性 -

また、普通のマウスでは見られない、性周期に伴った顕著な行動量の変化も見られました。これは躁うつ病患者に見られる“躁”状態および“うつ”状態といった気分の波の変化によく似ています。これらの行動異常は、リチウムの投与により改善し、また躁うつ病患者に投薬すると症状が悪化する三環系抗うつ薬※5によってより顕著になりました。
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